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高失業率に悩む仏、労働法を改正〜効果に疑問符、テロ対策の側面も〜

Japan In-depth / 2016年1月27日 23時0分

高失業率に悩む仏、労働法を改正〜効果に疑問符、テロ対策の側面も〜

Ulala(ライター・ブロガー)


「フランス Ulala の視点」


フランスのオランド大統領は18日、雇用対策プランを公表、また、スイスで行われた世界経済フォーラムタボス会議でも、マクロン産業相により改革は事実上の週35時間労働制の終了になることが宣言され、フランスではテロの警戒と並行して労働法改正を始めとする失業問題改善への取り組みが始まる。
フランス国立統計経済研究所(INSEE)が昨年12月発表した第3・4半期のフランスの失業率は10.6%で、前期の10.4%から上昇。フランスのメディアrfiによると、2013年から2015年にかけて、スペインは「65万人」、ドイツは「48万人」の新たな雇用が作り出されたが、それに比べてフランスは「6万人」のみと圧倒的な差があると言う。失業問題に対処することは、オランド大統領が次の大統領選で再選を狙うためだけではなく、フランス経済の好転のためには必須の課題だ。

特に週35時間労働制は、サルコジ前大統領が今月出版した「ざんげ本」と呼ばれる「一生のフランス」の中でも、「就任直後に実行すべきだった改革を先送りしてしまった」と述べ見直しが不十分だったことを後悔しているように、法律が導入された時から経済状況悪化の原因になると常に議論されてきた事項でもある。

週35時間労働制は、社会党政権のリオネル・ジョスパン首相により導入された法律だ。高い失業率を減らすため、労働時間を分かち合うワークシェアリングの考え方を広く導入し、若年層を中心に雇用も増やすという発想で成立した。確かに、失業率は一時的に8%台に下がり、その後のアンケートで日常生活満足度も改善されたと言う結果も出て、一定の成功を収めたとも言える。だが導入期に当たる1998-2000年は、運よく好況の波に乗っていたということも忘れてはならない。現在は景気減速とともに失業率は前記の通り10%前後に戻ったのだ。

フランスの労働コストは、他のユーロ圏主要国と比較してみても事業主負担が大きく、このコストの高さがフランス企業収益低迷の一因となっていると言われており、今回の改革では、35時間の枠自体は廃止されるわけではなく、労働規則の緩和を行いコスト面にも配慮することで、労働者を雇用しやすい体制と生産性向上の土台を築こうとしているようだ。

25日に発表された案では、現在の25%~50%上乗せされる残業代を10%に下げることで、今までコストの関係で雇用者が労働者に35時間以上働くこと頼みにくかった状況の改善をしようという提案だが、残業代が減れば労働者が残業するモチベーションも減ると言う意見がすでに上がるなど、まだまだ議論は始まったばかり。

土曜日に発表された、OrangeとiTÉLÉ のアンケートでは、労働法改正による失業対策は、59%のフランス人はうまく行かないだろうと答えており、大半は懐疑的だ。しかし、同アンケートで、「失業に対して色々な対策があるのにこの20年間なにも試してこなかった」と言う問いに88%がYESと答えており、効果的な失業者を減らす対策を強く望まれていることは確かだ。

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