米大統領選、アイオワで号砲〜注目、共和党トランプ候補〜
Japan In-depth / 2016年2月2日 11時6分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2016年2月1-7日)」
今週はアイオワ州で米大統領選挙の党員集会が開かれる。これにより世界一長い選挙戦がようやく本格化するのだが、今年は、共和党トランプ・民主党サンダース両陣営以外の関係者にとって、過去数十年間で最も憂鬱な大統領選挙の一つではなかろうか。
何しろ先が見えない、文字通りの星雲状態だ。共和党では誰もトランプが大統領候補になるとは信じたくないのだが、その可能性は消えない。しかも、同様の現象は民主党にもある。今回ほど反ワシントン感情の強い大統領選挙は覚えがない。
今CNNを見ながら原稿を書いているが、現在は米国時間で2月1日の朝、これからCNNは一日アイオワ・コーカス(党員集会)を実況中継する。例年なら民主・共和のいずれが勝つか考えるのが楽しみなのだが、今回の興奮はこれとはちょっと違う。
いずれにせよ、この週を境に、米国政治は機能停止に陥る。すべてが大統領選挙との関連で議論され、選挙に影響を及ぼさないニュースは、如何に重要であっても、大々的に報じられる可能性は低くなる。同時に米外交の思考力も低下するのだ。
○欧州・ロシア
2日にローマで反「イスラム国」有志連合の会合が開かれ、4日には独仏の内務省がギリシャを訪問する。中東アフリカを起因とする危機、特に難民問題の出口が見えないことを象徴する出来事ではないか。
〇東アジア・大洋州
3-4日にニュージランドでTPPの署名式が開かれる。甘利前大臣はさぞ出席したかったことだろう。ところが同時期、中国外交部長は1月30日からマラウィ、モーリシャス、ナミビアを訪問した後、4日にロンドンでシリア支援国会合に出席する。民主主義議会のない国の外相は良い仕事ができるので羨ましい限りだ。
〇中東・アフリカ
日本ではほとんど報じられないが、6日にアフガニスタン、パキスタン、中国と米国の代表が参加してアフガニスタン和平交渉が再開される。ターリバーンが交渉に参加するか否かが焦点だが、日本人はこの会合に中国が深く関与していることの意味を正確に理解することが必要だ。中国外交の奥は深いのである。
〇インド亜大陸
1日にインド・バングラデシュ両外相がニューデリーで会談する。1-5日にインド副大統領がブルネイとタイを訪問する。インド外交は決して目立たないが、意外と活発に動いているようだ。インド亜大陸についても、その大きさと奥深さを痛感する。
〇アメリカ両大陸
今週のアイオワ州で開かれるのは党員集会であって、予備選挙ではない。不特定多数の党員が参加する予備選が始まるのは2月9日のニューハンプシャー州から。それにしても、この二つの小さな州での結果がその後の全米の選挙結果を左右するのだから、米大統領選挙は面白い。
いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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