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世界一親日、台湾に支援を~大地震の被害広がる~

Japan In-depth / 2016年2月8日 11時0分

世界一親日、台湾に支援を~大地震の被害広がる~

古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)


「古森義久の内外透視」


台湾の南部を2月6日に襲った大地震は台南市などの住民にむごい被害をもたらした。16階建ての集合住宅の倒壊では生後10日の赤ちゃんまでが死亡し、なお崩れた建物の内部には100人以上が生き埋めとなっているというのだから悲惨である。日本としては官民あげての支援を供するべきだろう。

天災の大被害を受けた人たちへの支援や救済は国家同士の関係も政治体制の違いも本来は無縁であるべきだろう。あくまでも人道主義の見地からということになる。とはいえ相手が自分にとってどういう存在であるか、どんな関係にあるのか、という点がからんでくることも自然である。

この点で台湾は日本にとって非常に大切な存在だといえる。台湾の住民たちほど日本に好意を向ける人たちはいないのだ。東日本大震災のときには日本の被災者への台湾からの義援金が全世界の他のどの国よりも多かった。超大国のアメリカからの義援金よりも多額だったのだ。

だから今回の台湾の大地震でも、日本側としてはまさに困ったときこそのよき隣人、友人として敏速かつ最大限の支援を贈るべきである。単に人道上の意味だけでなく、日本の対外関係という政策上での大きな意義もそこにあるのだ。

台湾側の日本への期待もあるだろう。国民性からしてもちろん日本からの援助が欲しいなどという態度はツユほどもみせるはずはないが、なにしろ日本が大好きという人たちが多数いるのがいまの台湾なのである。だから好きな相手に頼るという心情も必ずあるだろう。

その例証をこの台湾での地震が起きる直前にワシントンで改めて確認した。ワシントン時間の2月6日午前9時からの戦略国際問題研究所(CSIS)での「台湾の前進の道」と題するシンポジウムだった。台湾の総統選挙の新たな結果を踏まえての将来の展望が論題だった。その集いの報告者の1人、台湾系アメリカ人のエマーソン・ニュウ・デューク大学教授が台湾住民の最近の政治観や外交観について語った。

「いま台湾人が最も好きな国は日本だという世論調査結果が出ています。2012年の調査ではその国はアメリカだったのですが、2015年には日本が一番になりました」

ニュウ教授の発表によると、2012年の調査では「最も好きな国」としてアメリカをあげた人が全体の28%、日本が二番目で22%、中国は17%だった。ところが2015年の調査では日本を筆頭にあげた人が37%、アメリカが24%、中国が12%という結果になったのだという。

台湾の人たちが中国から攻撃を受けた場合にはたぶん守ってくれるだろうアメリカよりも、日本のほうが好きだ、というこの事実は日本の外交や対外関係にとってもかけがえのない資産だといえよう。

そんな親日の台湾の人たちが地震の被害で苦しんでいる現在、日本側としてもベストを尽くして緊急の支援にあたりたいところである。

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