こんなに違う「欧・米」の税制(下)~消費税という迷宮 その2~
Japan In-depth / 2016年2月17日 7時1分
レーガン政権に代表される新自由主義者たちは、このような税制では社会の活力が奪われるとし、課税を含めた政府機能を抑制し(=小さな政府)、自由な市場原理で活気ある資本主義社会を実現すべきであるとした。「低福祉・低負担」でなにが悪いのか、という考え方である。
これについて、あえて突っ込んだ論評はするまい。民主的な選挙が保証されている米国において、有権者が選択したのであり,結果は彼らが引き受けるのだから。ただ、米国は基軸通貨であるドルを持つ国なので、きわめて特殊な財政事情にある、ということは指摘しておきたい。
わが国の財政赤字について、1万円札をどんどん印刷しているわけではなく、国債を日銀が引き受けているから、そう簡単には破綻しないのだ、などと言う人がいる。米国の場合はもっと単純で、米国債を日本や中国にどんどん買わせた上で、ドル安の方向に誘導すれば債務が自動的に軽減できるという、言わば特権を持つ国なのだ。
ここまで読まれた方は、どうして本稿が上下2本の体裁をとることとなったか、すでにお気づきであろう。
わが国は、経済政策の総体としては米国の新自由主義に倣って、規制緩和や大企業を優遇する税制(これについては、次回)を採用していながら、同時に消費税も取っている。
しかもその消費税は、福祉の財源という名目ではあるが、ヨーロッパ諸国のような「高福祉・高負担」の社会を日本の未来像として描いてきた形跡は見当たらない。
このような、鵺(ぬえ)のごとき税制が許されてよいのか。読者の皆様には、一度この問題を考えていただきたいのである。
上の続き(全2回)
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