「犬猫の親子を引き離さないで!」 画期的条例、札幌で
Japan In-depth / 2016年2月20日 11時5分
札幌市動物愛護管理条例「幼い犬猫を守る条項」について、弁護士の細川敦史氏は、札幌市条例が成立すると動物愛護管理法の本則56日規制の完全実現への布石になりうる、と評価した。その理由として「別に法律で定める日」の検討事項の一つ、「親等から引き離す理想的な時期についての社会一般への定着の度合い」に貢献することが期待されるからだ、とした。
一方、慶応大学法学部 大屋雄裕教授は、札幌市の条例に対し、国から「2012年の動物愛護法の上乗せ規制ではないか、と指摘される可能性がある。」と問題点を挙げた。国の法律で経過規定を設けたのに前倒しようとしているとみられる可能性があるからだ。法律と同じ目的・内容で規制を強化する条例は、過去の判例を見ると認められない可能性が高い。国の法律は、56日にいつするとは言っておらず、検討を始めるとは言ったがいつ終えるとも言っていない。これが問題となってくるというわけだ。
法律的にこうした攻撃を受けた場合の対抗措置として、札幌には特有の事情がある、と説明する方法がとりうる、と大屋氏は説明する。札幌では、「市民や販売業者に周知が進んでいる」と説明することで、懸念の解消を主張できる、という。また、「状況が整えば56日化する」という動物管理愛護法の規定をみると、札幌が率先してやることにより、「(状況が)整ったエリア」が増えることになるわけで、条例化を進めることの正当性を主張することが出来るという。
いずれにしても札幌市の条例制定は小さな一歩にすぎない。しかも、8週齢規制だけでは、年間10万頭(平成26年度 環境省調べ)もの犬猫殺処分をゼロにすることは出来ない。そもそもペットショップで犬猫を買うことが一般化されている日本は、シェルターという動物保護施設から動物が譲渡される諸外国から見ると例外的だ。さらに、生まれて間もない子犬や子猫を好む私たちの指向は、悪質な繁殖業者の存在を生み、増えすぎた子犬や子猫が不法に遺棄されるという犯罪を生むことに繋がっている。
こうした現状を改善し、動物との共生を図る為に、ペットを飼っている私たち一人一人が、動物を取り巻く環境について、知らなければならない。その上で、自分たちは一体何ができるのか、考え、行動するきっかけに札幌市の動きがなることを願う。
※以下修正しました。(2016年2月23日)
旧)法律的に既にある規制を上回る規制をかける条例は過去の判例を見ると認められていないという。
新)法律と同じ目的・内容で規制を強化する条例は、過去の判例を見ると認められない可能性が高い。
旧)「状況が整えば56日化する」という動物管理愛護法の文言をみると、
新)「状況が整えば56日化する」という動物管理愛護法の規定をみると、
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