ジェブ・ブッシュ撤退 共和党三つ巴 米国のリーダーどう決まる? その5
Japan In-depth / 2016年2月22日 11時0分
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
「アメリカ本音通信」
先週末2月20日の土曜日、ネバダ州で民主党が、サウスカロライナ州では共和党の予備選が行われた。これに先駆けたアイオワやニューハンプシャーは人口は少なめで、全米平均と比べると白人率が高かったり、宗教保守派が多いなど、かなり特異な土地柄であるため、今後の大統領選挙全体の行く末を占うには不適切だったが、ネバダやサウスカロライナではそうはいかない。両党の候補がほぼ出そろう来月初頭の「スーパー・チューズデー」を前に、どのような展開が予想されるか、だいぶ見えてきた。
まずはネバダ州の党員集会。ヒスパニック系有権者が多く、ラスベガスのカジノ産業が好調かどうかで州民の生活が左右される土地柄。きらびやかなカジノとその周辺に多く住むホームレス人口によって、全米のどこよりも貧困の差が顕著に可視化されたネバダでこそ、サンダーズが提唱する「格差をなくそう」というアピールは魅力的なものとして有権者の眼に映るだろうとも思われていた。
特に20〜30代の年齢層では、ヒラリー・クリントンの支持率を上回り、ネバダでも追い上げているとニュースでは伝えられていた。だが、予備選挙(プライマリー)と違い、党員集会(コーカス)では、実際に会場に出向いて説得されて支持する候補者を決める浮動票も多く、事前調査が役に立たないことが知られている。蓋を開けてみれば、早い時期から草の根運動でマイノリティーやカジノ従業者をとりこんでいたクリントンが逃げ切ったという印象だ。
この後に控えるサウスカロライナ州や、その後に続く南部の州ではまだまだクリントン支持の基盤が厚く、サンダースが彼に熱狂する若者層を取り込んだとしても過半数を取れそうな州は限られている。他にもまだ候補者がいるのなら、過半数を取れそうな州に集中して選挙運動を展開する方法も考えられるが、これからはクリントンとの一騎打ちが続くことを考えれば、サンダースが勝ち続けるシナリオは現実的ではない。
一方で、共和党の予備選挙も予想通りの結果となったといえる。ドナルド・トランプはこのところ暴言癖が暴走して、「橋ではなく壁を作るのはキリスト教徒的な考え方ではない」と遠回しに非難したローマ教皇まで批判したり、軍人家族が多く住むサウスカロライナでは皇族のように重んじられているブッシュ一族を貶め、イラク戦争に反対だったと発言するなど、相変わらず支持率に影響を与えそうな爆弾発言が続いたが、それも計算づくの「煽り」で、今後もどのような暴言を発したとしても支持率が下がったりはしないのだということに、ようやく共和党中道派も気づいた。
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