保守主義標榜せぬトランプ氏の異端 米大統領選クロニクルその4
Japan In-depth / 2016年2月27日 11時0分
この区分でみると、いまのオバマ政権はきわめてリベラル的だといえる。オバマ大統領がこれまで最大の精力と時間を投入して進めたオバマケア(医療保険制度の国民皆保険の方向に向けての改革)はまさに政府が国民の医療を管理するという点でリベラリズムそのものだといえる。
歴史的にはアメリカ国政では戦後の長い年月、リベラリズムが保守主義を圧していた。連邦議会の上下両院が長年、民主党により一貫して多数を制されてきた事実がその構造を物語る。この「リベラル対保守」の構図を大きく変えたのが1980年の共和党ロナルド・レーガン候補と民主党ジミー・カーター大統領の対決だった。この選挙では超保守とされたレーガン氏が現職大統領のカーター氏を地すべり的な大差で破ったのだった。
今回の選挙でも共和党側のほとんどの候補者は保守主義を掲げ、民主党オバマ政権のリベラル的政策を否定するところから出発していた。ただしトランプ候補だけがオバマ政権を糾弾しながらも、自分の特徴を評するのに保守主義という言葉を使わない。保守主義の規範には合致しない政策をも主張する。たとえば中国や日本に対するアメリカの貿易赤字を指摘して、貿易規制の必要性を唱える。貿易に管理を導入する保護貿易主義はリベラル派の主張なのだ。
こんな点にも2016年の大統領選挙の異端ぶりがちらついている。
(この記事は、「気化」するか、トランプ人気 米大統領選クロニクル その1 と 帰趨を制する“一言の重み” 米大統領選クロニクル その2、ブッシュ王朝の落日 米大統領選クロニクル その3 の続きです)
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ルビオ次期国務長官を注視しよう(下)安倍首相の靖国参拝への支持
Japan In-depth / 2024年11月24日 19時0分
-
トランプ氏、国務長官にルビオ上院議員、規制緩和など政府効率化の担当にマスク氏らを指名(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月14日 11時30分
-
アメリカのZ世代はなぜトランプ支持に流れたのか
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 14時15分
-
【アメリカ大統領選】今さら聞けない! 共和党、民主党の違い ファーストレディの“役割”とは
オトナンサー / 2024年11月5日 7時10分
-
米大統領選で注目「ふたつのジェンダーギャップ」 ハリスとトランプのどちらに有利に働くのか
東洋経済オンライン / 2024年11月2日 17時0分
ランキング
-
1中国ハッキング疑惑、米国史上最悪と上院情報委員長
ロイター / 2024年11月25日 12時1分
-
2韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表に今度は無罪判決 自身が被告の裁判での偽証教唆罪に問われるも 裁判所「検察の証拠だけでは故意があったとみるのは不十分」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 16時19分
-
3焦点:ロシアの中距離弾道弾、西側に「ウクライナから手を引け」と警告か
ロイター / 2024年11月25日 14時14分
-
4《トランプ圧勝の大統領選からアメリカがみえる!》「なぜ火曜日に投票?」「どうして選挙人という存在が生まれた?」から「ハリスに待ち受ける屈辱」までジャーナリストが解説
NEWSポストセブン / 2024年11月25日 11時15分
-
5【独自】イラン、圧力政策の回避を要求 トランプ氏に書簡、協議の意向も
共同通信 / 2024年11月25日 16時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください