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トヨタ・ダイハツ・スズキ新三角関係 その2

Japan In-depth / 2016年3月5日 12時0分

調達も工場に設置するロボットも比較的高価な製品、上場している自動車会社よりも大きなトヨタ系列の部品メーカーから、相対的に高い部品を仕入れ高品質を維持、人件費は高く、結果的に高品質だが高コストの車両が出来上がる。トヨタにとっては、新興国で販売する小型車でも、十分利潤を上げられるような低コスト開発はなかなか難しいのが現実です。

トヨタはこれに対処するために、2つの大きな施策を導入しました。組織改革とTNGAです。組織改革とは、会社を第1トヨタ、第2トヨタ、レクサス、ユニットの4組織に細分化、第1トヨタは日本・米国などの先進国、第2トヨタは新興国向けに車両を開発する。レクサスはレクサス車の開発、ユニットとはエンジン・トランスミッション・主要部品などの開発を主に担当するという部門で、車両のコスト削減に於いて最も重要とも言える機能です。

またTNGAという言葉は最近すっかり有名になりましたが、“Toyota New Global Architecture”の略で、簡単に言えば他の主要自動車会社同様、プラットフォームの共有化、アーキテクチャー(基本骨格)のグルーピング化、部品の共通化で生産・開発を効率化、商品力と競争力の向上を目指すというものです。

この戦略はFF系中型車の新型プリウスから採用され、今後、小型車・大型車・FR系に順次横展開、2020年にはグローバル販売台数の約半分を占める、としていました。ところが今回の会見で、豊田社長は“これからは小型車の開発はダイハツが主導で行う”と明言しています。つまり、組織改革で誕生した第2トヨタが、早くもダイハツに置き換わられる、ということでしょうか。

それではTNGAはどうなったのか。勿論TNGAはトヨタの開発・生産手法でダイハツは一切関係ありません。ダイハツにTNGAのノウハウは全く無いのです。それでも小型車の開発をダイハツに任せるということは、“小型車領域ではTNGAはコスト優位性を発揮できないことが判明した”と言っているようなものです。

 今回小型車開発の戦略は大きく変更となり、結局TNGAでカバーするのではなく、ダイハツでの開発主導に切り替えた、ということであれば、これはトヨタの開発における大転換と言えます。いずれにせよ、ダイハツ主導で開発された小型車が世に出るのは早くて4年先。東京五輪より先か後か、というタイミング。その年は、DeNAとZMPの合弁であるロボタクシーが、3,000台の完全自動運転タクシーを首都高で走らせている年、小型車を取り巻く環境は急速に変化している可能性もあり、小型車開発の迅速かつ有効な実践が必要となります。

(4日連続毎日12時配信。トヨタ・ダイハツ・スズキ新三角関係 その3に続く。トヨタ・ダイハツ・スズキ新三角関係 その1もお読みください)

 

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