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次期国連事務総長候補者、立候補演説4月に

Japan In-depth / 2016年3月10日 15時29分

「植木安弘のグローバルイシュー考察」

モーゲンス・リッケトフト国連総会議長は、次期国連事務総長にこれまでに正式に立候補している候補者の演説会を4月12日から14日にかけて行う、と2月26日の記者会見で発表した。

昨年9月の総会の決定で、次期国連事務総長の選出については、これまで実質、安全保障理事会(安保理)内だけで行われてきた選出のプロセスをより広く国連の加盟国を含めたものにするため、総会議長と安保理議長が共同で候補者を募ることになった。これを受けて、12月15日には両議長は加盟国への書簡で選出のプロセスを開始するため候補者を推薦するよう促していた。

これまでに自国政府の推薦を受けて立候補したのは7人だ。東欧から6人、西欧から1人。事務総長選出に地域的輪番制はないが、過去、北欧、北欧、アジア、西欧、ラテンアメリカ、アフリカ、アフリカ、アジア地域から選出されており、特にラテンアメリカの後はアフリカ諸国が地域輪番制を主張したため、結果的にこれが受け入れられた経緯がある。

二度アフリカが続いたのは第六代のブトロス・ブトロス=ガリ事務総長がアメリカの拒否権で一期5年で終わってしまったことと、サブサハラ以南のいわゆるブラック・アフリカから事務総長が出ていないこともあって、アフリカ諸国の主張が通ったことがあった。

第七代のコフィ・アナン事務総長の後任には「次はアジア」との暗黙の了解があり、候補者は一人の女性を除きすべてアジア出身だった。この女性は東欧ラトビアのヴァイラ・ヴィケ=フレイベルガ大統領でバルト三国の支持を基に名乗りを上げたが、これは女性候補を立てるべく「今平等を」(Equality Now) という女性グループが動いた背景があった。

アジアを代表した第八代の潘基文事務総長は二期10年を務めることになり、2016年でその任期が終わるため、既に2015年から次期事務総長選をめぐる動きが活発化した。次はヨーロッパ、しかもこれまで事務総長を出していない東欧が地域的輪番制を主張する一方、今度こそは初の女性事務総長をとの声も高まっており、昨年12月の加盟国への書簡でも男性に加えて女性の候補も推挙するよう奨励された。

東欧出身の候補者は、マケドニア(ギリシャとの国名を巡る争いで国連ではFYROMとして知られている)のスルジアン・ケリム(元外相、大使、国連総会議長を経験)、クロアチアのヴェスナ・プシッチ(現第一副首相兼外相)、モンテネグロのイゴール・ルクシッチ(現副首相兼外相で元首相)、ソロべニアのダニロ・チュルク(元大統領で国連政務局次長、国連大使を経験)、ブルガリアのイリーナ・ボコヴァ(現ユネスコ事務局長)、そしてモルドヴァのナタリア・ゲールマン(元第一副首相兼外相)だ。三人が女性だ。西欧から唯一立候補しているのはポルトガルのアントニアオ・グテレス元首相、前国連難民高等弁務官だ。候補者はまだ出るものと思われる。

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