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バブル期の日本を忘れない人々 米国のリーダーどう決まる?その8

Japan In-depth / 2016年3月11日 9時7分

現代では鉛中毒の恐ろしさは十分解明されている。一時的に水が濁っている、臭いという問題よりも、特に成長期にある子どもの脳神経の成長に悪影響を及ぼすことはわかっているが、これだけだったら大丈夫だという数値もない。鉛中毒によって引き起こされる問題行動、低知能、学習能力障害は不治とされている。

このニュースが全国に流れた時、クリントンは真っ先に現地に向かい、米連邦政府が直接給水や水道管工事の費用を出せるよう調整に奔走した。一方、サンダース候補は「とりあえず州知事をクビにするべき」というコメントを発表しただけだった。ディベートで2人の候補はフリントの問題で激しくやりあった。クリントンが連邦政府の援助を拒み、弁護士を雇い続けるだけのスナイダー知事を「クビにするのもやむを得ない」と言った発言も、方針を変えた、サンダースの意見に後で同調した、とまで批判された。

フリントの問題に限らず、最初から理想だけを復唱して具体的な政策になると知識の乏しさも目立つサンダース候補と、政府内外の事情や人脈に通じ、実行力を持つことが「政府の中の人」と裏目に出るクリントン。

今回の予備選挙の結果からもう一つはっきりしたのは、ミシガン州の住民が、自分たちのコミュニティーが貧しくなってしまったのは、1994年に締結されたNAFTA(北米自由貿易協定)のせいで自動車工場やブルーカラーの仕事が次々とメキシコに流れてしまったからだと有権者が思っているということだ。そしてこの時の悪役が、バブル経済に酔いしれていた「ジャパン」なのである。

ビル・クリントン大統領が推し進めたNAFTAに、ファーストレディーだったヒラリーは無関係なのだが(それどころか当時、国内の健康保険改革法改正に尽力していたヒラリーは、貿易問題にばかり時間をとられる議会に腹を立ててさえいただろう)、そのとばっちりを受けてミシガンで勝てなかった。

一方、共和党の予備選挙においてもトランプは、機会がある度に「不公平な海外との貿易をなくす」と息巻いている。彼は中国からの輸入品も槍玉に挙げるが、今までさんざん中国産の紳士服に自分の名前を冠して儲けてきたのであまり強くはいえない。むしろ、日本のバブル期にニューヨークを舞台に不動産買収競争をしていたトランプのことだ、あの頃の円高を苦々しく思っていただろうし、今は安倍政権の円安政策のせいで、自分の友人がコマツ社製の重機を買わなくてはならなくなったと発言したところだ。このままこの大統領選狂騒曲を対岸から面白おかしく観ているだけで済むだろうか。この後、ミシガンと同じように貿易問題で煮え湯を飲まされてきたイリノイ州、オハイオ州の予備選が控えている。 

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