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子供を肯定し未来に送り出せ 広島中3自殺

Japan In-depth / 2016年3月16日 12時0分

子供を肯定し未来に送り出せ 広島中3自殺

Ulala(ライター・ブロガー)


「フランス Ulala の視点」


昨年12月、広島県府中町立中の3年の男子生徒が誤った万引記録に基づく進路指導を受けた後に自殺。学校側のミスが元で成績優秀のお子さんの将来が断たれたのです。そして学校側が釈明した際に「自分の思いが言えない生徒がいるとは考えていなかった」と発言していることに、とても憤りを感じました。中学生でも、自分の思いをはっきり伝えられない子供達はかなりの数いるのではないでかとも思うからです。


日本では普通に空気を読んだり、相手に合わせなければいけなかったりする場面がとても多く存在します。おまけに学校空間の中で先生に自分の意見を言うことはリスキーな場合もあります。しかも問題はそれだけではありません。だいたい日本は自分の考えを示して反論する教育自体、十分に行われているといえるでしょうか?


私事になりますがフランスに移り住んで一番苦労したことは、自分の考えていることをまとめて即座に相手に言い返せないことでした。フランス人は反論を反射的に返してきます。その後知ることになりますが、この問題は技術者など、海外を相手にする職業の方達も、海外に最初に出て感じることだったようです。


そういった違いはなぜ起こるのか?フランスではすでに小学校の時点で自分の頭にあることを説明することを目標に掲げて教育されています。その後中学では知識を増やしながら、自分の立場と考えを元に事象を説明できる段階へと進んで行き、フランスの高校生活が終わる頃には、例え浅い知識しかない状態でも自分の意見がハッキリ言えるようになります。「まず反論。その後に自分の考えを整理して理由を述べる。」と言う行為は、日々行われた訓練があるがゆえ行えることで、突然にして出来るようになるかと言えば、なかなか難しいものがあります。


また日本では、正しいことをしていればいずれ誰もが理解してくれる、察してくれる、という暗黙の了解があることが多く、言葉として表すことがあまりない傾向にあります。しかも特に中学生ぐらいの年齢の男子で言葉数が少ない子は珍しくありません。


そう言ったはっきり返事ができなかったかもしれない状態があり得たことに加え、もしかしたら先生が最初にかけた言葉が正確に伝わらなかった可能性があるのにもかかわらず、「自分の意見を言えない子供がいるとは知らなかった」と言う発言は、経験ある教育者が言う言葉ではないとしか思えないのです。


日本の学校の生活指導、進路指導というシステムは、子供の進む道を親以外の人がアドバイスできると言う面で優れていると思いますが、先生が子供の将来を決めるようなシステムであってはなりません。しかも、間違った情報により人生が左右されるなどはもってのほかです。


現在、担任・生徒のやりとりは事実かどうかを検証する第三者委設置が計画されていますが、今だにめどが立たない状態であると伝えられています。すでに、事件から3か月も時間が経った上、調査は4月以降になるかもしれないと言います。子供達を肯定しながら未来に送り出せる体制に改善していくためにも、他にもいろいろな要素の問題が凝縮されている今回の事件。少しでも早く調査が進み、真実を伝えて欲しいと願うばかりです。

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