ゴール目前ヒラリー、党大会カオス必至共和党 米国のリーダーどう決まる? その10
Japan In-depth / 2016年3月17日 8時44分
大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)
「アメリカ本音通信」
小スーパー・チューズデーと呼ばれた3月15日の米大統領予備選挙がフロリダ、ノースカロライナ、イリノイ、オハイオ、ミズーリの各州で行われ、民主党はヒラリー・クリントンが5州すべて勝ち取り、共和党はオハイオ州以外の4州でドナルド・トランプが勝利を収めた。
民主党では、これでヒラリーの指名がほぼ決まったと言っていいだろう。バーニー・サンダースはまだまだ敗北宣言をするつもりはないだろうが、残りの州で選挙人を72%以上獲得しなければならない計算になる。サンダース支持のリベラル層が多い東・西海岸での予備選挙が控えているものの、ニューヨークやカリフォルニア州といった広大な州では、都市部に彼を熱狂的に支持するリベラルの若者が多くいても、州全体では中道の候補が選ばれる、つまりヒラリーの優位は動かないだろう。
民主党の候補者指名の可能性が低いとしたら、今後サンダース陣営にはどういう展開が考えられるか? これ以上クリントンとディベートを続けても、サンダースの理想論に具体的な政策が伴っていないことや、外交問題には疎いことがさらに明るみに出てしまう。「すべてはウォールストリート(金融業)の政治献金によって、選挙制度が不公平になり、格差が拡大したのが悪い」という説も一本調子で聞き飽きられる。
サンダース候補が共和党レースのトップを走るトランプを攻撃するのはけっこうだが、Bernie Brosと呼ばれる心酔者(若い白人男性が中心層)はオキュパイ運動のデモのノウハウがある人たちなので、トランプ側のイベントに参加してはデモをすることで自分たちの主張をアピールしている。だが、サンダースが彼らのリーダーとして、トランプにも表現の自由があり、ラリーを阻止することを非難して、やめさせるよう訴えなければ、そのうち小競り合いで怪我人が出るぐらいでは済まなくなってくるかもしれない。
いずれにせよ、夏の党大会で候補が絞られれば、オバマ大統領を始め現役の民主党議員や州知事が一斉に支持を表明し、一丸となって大統領だけでなく、上下議会の席を増やそうと戦う準備はできている。
一方、共和党は自分の地元フロリダ州でも惨敗の憂き目を見たマルコ・ルビオ候補が撤退し、残るはトランプ、テッド・クルーズ、ジョン・ケイシックとなった。クルーズは既にルビオ票を自分の側に取り込もうと必死だが、これからはトップの候補がその州すべての選挙人を獲得するwinner takes all(勝者総取り)方式の州が多いので、2位に甘んじていてはいられない。ケイシック候補も地元オハイオでは勝利したものの、トランプの勢いを凌ぐほどの支持を急に集められる手立てはない。
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