サイクロンから1年、見えてきた課題
Japan In-depth / 2016年3月18日 12時0分
被災当時、自然災害対策本部は、自分たちですべて仕切ろうとしたものの、被害の大きさ、支援の多さに対応しきれませんでした。世界中から迅速に多くの物資が届いているのにも関わらず、本部がすべての被害状況を把握できておらず指示が出せないので、各団体も足踏み状態でイライラしていました。一ヶ月経っても、二ヶ月経っても分配できず、結局、被害のあった村にとって、個人のボランティアの方達の直接支援が大きな助けとなりました。
食料支援においても、当初の予定では、畑が復活をし始める被害後3ヶ月で、被害のあったすべての村に2〜3回の支援物資を届ける予定でした。しかし、実際は、首都のあるエファテ島でも、一回しか届かない場所が多く、離島に至っては、政府からの支援物資が一度も届かない場所もありました。
離島では、その不満に追い打ちをかけるような今回の一件で、さらに不満が高まったのでしょう。私も同感で、ちょっとくらい賞味期限が切れていたっていいじゃないか、それなら家畜のえさにしたらいいじゃないかと思います。捨てるくらいなら、欲しい人には無料で提供すればいいのです。それを、公に公開すれば、不公平さは出ません。非常時や緊急時にはもっとフレキシブルな対応をしても良いのではないのでしょうか。
しかし、これを、政府のお粗末で終わらせてはいけません。私はバヌアツにすんでいるので、今回の件を知りましたが、これは、もしかしたら氷山の一角。いろんな被災地で同じようなことが起こっているかもしれません。不要な支援物資、他の国ではどうしてきたのでしょうか?
ペンテコストの議員は、さらに、こんな事も述べています。
「オーストラリア、クイーンズランドにあるバヌアツコミュニティがサイクロン後に食料や服を詰めた11個のコンテナを送ってくれた。彼らは、未だにバヌアツ政府からありがとうと言われるのを待っている。」
災害時の支援は、人の温かさを実感する素敵な行為です。一方で、支援する側、支援してもらう側にもそれぞれ課題が見えました。
支援する側は、善意の押しつけ、自己満足になっていないか、相手の状況を考えた支援でなくてはならない。支援される側は、絶対的なリーダーシップが必要。現状をいち早く把握し、今、何がどれだけ不足しているか、不要なものは何かを明確に発信する。そして、支援を当たり前だと思わず、感謝する。サイクロンから1年。改めて支援のことを考える一日となりました。
※トップ画像:サイクロン・パム襲来1周年記念パーティー©相川梨絵
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
廃棄寸前の食品を大幅割引で販売、フードロスを防ぐインドネシアの販売プラットフォーム「Surplus」
Techable / 2024年5月14日 8時0分
-
防災グッズを用意している人は半数以上!防災グッズの”困る事”2位は「必要な量がわからない」、1位は?
PR TIMES / 2024年5月6日 15時45分
-
~全国の3,500人の男女に聞く~ 災害への備えと食に関する調査
共同通信PRワイヤー / 2024年4月30日 15時0分
-
ペットボトルの賞味期限は気にしなくていい…理論上「絶対腐らない」ミネラルウォーターに賞味期限がある理由
プレジデントオンライン / 2024年4月21日 9時15分
-
大河原克行のNewsInsight 第279回 サイボウズの「災害支援プログラム」、能登半島地震で語られたIT支援の実態
マイナビニュース / 2024年4月20日 9時0分
ランキング
-
1「安倍元首相、不安あおった」=文前大統領が回顧録―韓国
時事通信 / 2024年5月18日 20時53分
-
2イスラエル軍、ガザ北部ジャバリヤ侵攻「これまでで最も激しい戦闘」…戦闘員200人殺害と主張
読売新聞 / 2024年5月18日 22時7分
-
3ロシア、ハリコフ州でさらに1集落制圧=ウクライナ北東部、1万人避難
時事通信 / 2024年5月19日 8時26分
-
4「社会へ強いメッセージを伝える人に与えられる」“建築界のノーベル賞”プリツカー賞授賞式に山本理顕さん出席 日本人9人目の快挙
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月19日 11時13分
-
5ウクライナ、追加動員準備整う 「一部が前線で戦う過去終わる」 規模・時期、国民焦点に
産経ニュース / 2024年5月18日 18時32分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください