中東で存在感増すロシアとイラン
Japan In-depth / 2016年3月23日 19時0分
この経済制裁でイラン経済はガタガタとなり、2013年暮れにイラン・ロウハニ政権、欧米と中国、ロシアを加えた六ヵ国協議でイランのウラン濃縮活動の制限と欧米の経済制裁の一部緩和で合意した。その後も協議は続き、遂に2015年7月にイランは核開発の大幅な制約を受け入れる代わりに安保理決議や欧米各国の独自の経済制裁を解除する歴史的合意が成立した。これが今年1月から実施となったウィーン合意である。
【原油収入と国民の後押しで次々と巨大商談】
イランは経済制裁を解かれると、まず経済外交で動き出した。ロウハニ大統領が欧州を訪れオランド仏大統領らと会談、次々と経済案件を成約した。フランスとは大手エアバスの118機を購入するほか、自動車大手プジョー・シトロエングループ(PSA)とイランの自動車会社ホドロとの業務提携を発表、2017年以降に生産を開始する計画だ。
またイタリアでも鉄鋼大手ダニエリとイラン企業との合弁会社設立で約2兆1800億円の取引を成立させたほか、伊エンジニアリング会社が製油所の改修を支援することになった。さらにフランスがテヘラン国際空港の新ターミナル建設で協力することになった。
このほかにもイランと欧州各国の商談が次々と成立。一種のイラン旋風を巻き起こしている。イランには原油収入のほか、凍結が解除されつつある海外資産の一部を使うこともでき、資産総額は1000億ドルに上るといわれる。イランは人口8000万人の大市場でありカネをうなるほど持ち、国民も制裁解除を待ち望んでいたから、欧州にとってもノドから手が出るほどのマーケットなのだ。
ただイランは、いまサウジアラビアとの関係が極端に悪く断交中である。またイスラエルもイランがよみがえり、再び核開発に動き出すと警戒を強め、関係悪化から国際的事件にまで広がると、イランの夢は一挙にしぼんでしまう。またイランの宗派はシーア派でアラブ諸国のスンニ派とは一線を画している。イランが今後成長するには”外交”が要となろう。
*トップ画像;Tehran, Capital of Iran/Wikimedia Commons
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