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漫画文化の功罪について(下) 漫画・アニメ立国論 その4

Japan In-depth / 2016年3月25日 7時0分

内容や描写に対して、学者が反論を加えても、原作者が、 「現地で取材して書いたのだ」 と開き直れば、それは再反論になっていない、と指摘できる人はあまりいない。


もちろん公平に見れば、これまで政府や電力会社のお先棒を担ぐような「学説」ばかり発表し、見返りを受けてきたような学者たちも批判されるべきである。しかし、その問題と学説それ自体の信憑性は、また別問題なのだ。


ここで注目すべきは、専門の学者が言うことだから間違いない、というのと同次元で、漫画に描かれていることを、そのまま事実と思い込む日本人が、一定の割合で存在する、という事実である。私が権威という表現を用いたのは、そういう意味においてである。


日本の漫画や劇画は、たしかにレベルが高い。


しかしながら、あくまでも娯楽作品であることに変わりはない。『美味しんぼ』騒動の本当の問題は、料理や食材のウンチクで読者を楽しませ、人気を博した作家が、事もあろうに福島の放射能汚染について、風評被害を広めかねない描写をしたという、シャレにならない行為にあると私は考える。


そう言えば、 『ゴルゴ13』(さいとうたかを・著 小学館) を読んで国際情勢を勉強している、などと口走ってヒンシュクを買った政治家がいた。 まさかとは思うが、この人は、国際紛争を解決する手段として、暗殺(狙撃)もあり得るなどという思想の持ち主なのだろうか。


漫画や劇画は、徹頭徹尾、娯楽として扱うべし。 ありきたりな結論だが、大切なことである。


(この記事は 漫画文化の功罪について(上) 漫画・アニメ立国論 その3 の続き。全2回)

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