次は自分たちの町で熟議を! 全国高校生未来会議閉幕
Japan In-depth / 2016年3月27日 11時0分
Japan In-depth編集部(Erika)
23日から3日間にかけて行われていた全国高校生未来会議が25日、閉会した。
会議の目玉である「地域プランコンテスト」。最終日は、6つの地域ブロックの予選を通過した12チームに加え、敗者復活戦を勝ち抜いた2チーム、合計14チームによって本選が行われた。本選は、地域おこし・選挙啓発のためのそれぞれのプランを、1チームにつき5分間でプレゼンを行った。①独自性②当事者性③実現性④社会性の4つの評価基準を設け、参加高校生たち自身が評価し、最もポイントが高かったチームに「内閣総理大臣賞」が授与される。
また、地域おこしに最も資するプランとして評価されたチームには、「地方創生担当大臣賞」、選挙啓発に最も資するプランとして評価されたチームには、「総務大臣賞」が授与される。
本選のプレゼンは、活気に溢れ、それぞれの参加高校生たちの熱意が伝わってきた。郷土の音楽を用いたり、実際に方言を話してみたり、とプレゼンにも工夫が凝らされていた。住む地域の課題を見出し、それをいかに自分たちの力で解決していくか、また18歳選挙権を目前にして、どうすれば若者が投票所へ行くのか、どのチームも個性的なアイディアを導き出し、フレッシュにかつロジカルに訴えていた。
例えば東京都のチームは、高齢者と母子家庭の子供たちをつなぐ「世代間交流会」を空き家で行う、というプランを出した。東京都は、地域のつながりが希薄で、母子家庭世帯が最も多く、また空き家問題も抱えている。この「世代間交流会」を行うことで高齢者、母子家庭の子供たちの孤立や空き家問題を防ぐことができる、というものだ。さらには、高齢者から政治や社会の話を聞いて、母子家庭の子供たちの選挙への関心を高めるメリットもある。
また、熊本県のチームは、地元の人たちの地元への関心の低さに着目した。そこで、熊本県のゆるキャラと知事を候補者とする「模擬選挙」を行う、というプランを打ち出した。これは実際の選挙を体験することができるとともに、ゆるキャラという話題性を使って、地域の活性化にも貢献することができる高校生らしいプランだった。
個性あふれるプランの中で、最も評価の高い「内閣総理大臣賞」を手にしたのは、沖縄県チーム。彼らのプランは、伝統文化である「しまくとぅば」(方言)を使う人が減少していることに着目したものだった。そこで、「しまくとぅば」を残すためにはどうすればいいか、というテーマについて6月に行われる県議会選挙の候補者と高校生・お年寄りでディスカッションを行う、といったプランを出した。彼らは、プレゼンの時にはすでに2人の候補者にこのプランの説明を行い、承諾をえていた。県議会議員候補だけでなく、国会議員にも話を進めている。プランに加え、すでにアポイントメントをとり5月に開催する、といった、ビジョンが明確化していることも受賞のポイントとなったようだ。
又、「政策・政党立ち上げ体験」と称し、中高生が投票を「される」プランを打ち出した宮崎県チームに「総務大臣賞」が授与された。彼らは敗者復活戦を勝ち抜いたチームで、「僕たちの手で宮崎の、日本の未来を変えていきたい。」と熱弁を奮った。「地方創生担当大臣賞」が授与されたのは青森県チーム。彼らは、青森県内が二分されていることを問題視し、県の団結力を高めるため、文化や芸術活動を行っている高校生たちが団結して青森をPRする、「確原色」と名付けられた発表会を奨励するプランを立案した。
表彰式では、安倍内閣総理大臣が直接、沖縄県チームに賞状を授与した。総理は、「アイデアをぜひ地域においても発信していただき、それが地域で活用されるにはどうしたらいいんだろうということも考えていただいて、頑張ってもらいたい。」と参加した高校生にエールを送った。
全日程が終わり、高校生たちは疲れも見えたが、生き生きした表情だった。参加した高校生の一人、熊本県の亀井宏之介さん(17)は、「地元にいるだけじゃ浮いたりすることもある中で、みんな肩を並べて自分の意見を堂々と言いあう人や、この分野のことに関してはだれにも負けないし、こういう考えをもっていて知ってほしいんだという人の意見をきいて、僕の知らないところで熱意を持った人が動いているんだな、ということを知れたのはいい機会だった。」と楽しそうに語った。
福岡県の冨貴田彩乃さん(17)は本選には出場できなかったが、「今回聞いたプレゼンですごくいい案がたくさん出たので、いいところを取り入れて何かを(地元で)起こしたい。」と話していた。
3日間を通し、参加した高校生たちは仲間たちとの「熟議」や大人たちとの「対話」を通して何を学び、何を自分たちの住む場所に持ち帰ることができただろうか。団体代表理事の斎木陽平氏は高校生たちのアクティブな活動や地域の活動はだれからも褒められない、評価されないことに対して苦言を呈し、今回総理大臣賞を設けることによって、高校生が頑張って生み出したアイデアやプランが評価される「文化」にしたい、と話していた。
この会議は4月29日に彼らが各地元で未来会議を開催するための前夜祭であるという。実際に地元で4月29日に会議を開催する予定を立てている参加者の高校生は半分に及んだ。大都市だけではなく日本全国にこうした若い世代が、自分たちの住む町、社会、国について考える機会が増えていく。選挙権が引き下げられた今、若い世代も動き始めた。全国高校生未来会議は、その最初の一歩に過ぎない。
トップ画像:©Japan In-depth編集部
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