特別養子縁組が当たり前になる日
Japan In-depth / 2016年4月4日 23時0分
日本ではまだまだ特別養子縁組の数は少ない。それは、まだ家族の形が狭く、自分たちで家族は作り上げていくもの、という意識が足りないからだという。そういった意識が今回のようなイベントや、当事者の人からの話によって広まっていけば芽生えてくるだろう、40年前では考えられなかった「イクメン」の概念のように、特別養子縁組が当たり前になる日は絶対に来る。そう並河氏は話していた。
第二部では、民間の養子縁組団体が取り組む養子縁組についての1団体10分間のプレゼンテーションが行われた。プレゼンテーションをした民間養子縁組団体は全部で11団体。NPO法人や公益社団法人など様々だ。そのため、取り組みは多様で、例えば「一般社団法人 命をつなぐゆりかご」は、生まれてくるすべての子どもの命を守るため、多くの特別養子縁組の機会を提供している。その子にとってどのような親に育てられるのが一番良いのか、という、子どもと親とのマッチングを重視していた。また、認定NPO法人フローレンスは、「赤ちゃん縁組」の取り組みに加え、病児保育や障害児保育園の運営も行っている。アクロスジャパンの小川氏は、自分に合って、一生付き合っていける団体を選んでほしい、と冒頭で話していた。
参加した高垣弘樹さん(35)、佳奈さん(36)夫妻は2人の子どもを特別養子縁組で迎え入れた。実子を直前で死産し、どうしても子どもがほしい、と望み決断した。弘樹さんのお母様である加代子さん(60)は、実の孫と何ら変わらず、「孫が増えてうれしい。」と笑って話していた。
また、不妊治療を受けた37歳の女性は、特別養子縁組を考えていて、このイベントに参加。当初ご主人は抵抗があったようだが、ドキュメンタリー番組等の影響で考えが変わってきたという。説明会やブースに参加して、「これから自分に合うところ(民間団体)を探していきたい。」と話していた。
貧困や望まない妊娠によって生まれていた子どもたちも、社会の宝である「子ども」に間違いはない。彼らと、子どもがほしいのにできない、そういった夫婦をつなげる特別養子縁組。制度自体の知名度はあまり高くない。日本財団の常務理事、大野氏によると、里親制度と特別養子縁組の違いを理解している人は2割程度だという。
第一部で並河氏が話していたように、日本には「家族」という固定観念は根強く残っている。しかし、今回参加した人に話を聞くと、自分の子どもは養子で血はつながっていない、といったことを周囲に話しても、最初は驚かれるが自分たちが気負うほどではない。むしろ「おめでとう。」とも言われるという。
養子の日が定められてから3年余りしか経っていないが、民法の改正といった法整備をはじめとする仕組み作りも、着々と進みつつある。特別養子縁組の制度が浸透し、当たり前となる社会はそう遠くないのかもしれない。
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