渦中の乙武氏に友人ら集まりエール
Japan In-depth / 2016年4月6日 7時56分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
4月5日。総勢250人。ホテルの前に大勢の報道陣が集まる中、応援したいと友人たちが集まった。政治評論家の田原総一朗氏、脳科学者の茂木健一郎氏、スポーツジャーナリストの為末大氏、起業家の堀江貴文氏、野球評論家の古田敦也氏など、著名人の前で乙武洋匡氏はずっと神妙な表情で、声を絞り出すようにこう言った。
「お騒がせして申し訳ございません。これまでのことは全て妻に打ち明け、謝罪しました。妻も許してくれ、改めて絆を強く結んでいこうと誓いました。」
が、正直、出席していた筆者は違和感があった。なぜ、彼はここまで謝罪しなければならなかったのか、何故ここまで叩かれなくてはいけなかったのか。
本来なら乙武氏の誕生日を祝う会。それが、一転してお詫びをする会になってしまった。彼は会の冒頭と、中盤、2回皆に謝罪した。しかし正直、筆者も、周りの招待された友人たちも、別にお詫びなんてしてもらわなくてよかった。少なくとも私はそう感じていた。なにしろ、ことは乙武夫婦間の問題だ。我々が口出しすべき問題ではない。
なにより、妻である仁美さんが赦している。登壇した彼女はまっすぐ前を向き、皆にこう言った。
「夫の不貞行為に対して妻である私が謝罪することに違和感を覚える方もいらっしゃったと思います。しかし、私たち夫婦の場合、皆さんとは異なる事情があったことは否めません。」
そして仁美さんはこう続けた。
「皆様の信頼を裏切るほどの過ちを犯した夫ではありますが、私は今でも社会のお役に立てる人間だと信じております。どうか、乙武を見捨てることなく、厳しく見守っていただければ幸いです。
ただし次はありません。」
最後のこの一言で、会場内は大きな拍手で包まれた。
「五体不満足」を書いてからこれまでずっとメディアの寵児だった乙武氏。彼の心の中の葛藤、迷い、ジレンマ、ありとあらゆるものが“ないまぜ”になって、必要以上に自分を大きく見せようとして生きてきたことが今回、本人の口から述べられた。これ以上我々は、彼に何を言えるというのだろう。
家族と、そしてなにより自分自身と向き合えるかどうかが、今後の彼の課題だろう。会が終わり、乙武氏はこう言った。
「本当に、これだけ多くの皆さんに支えられているんだなあということを、心から実感することができました。どれだけ感謝してもしきれません。」
今後の予定については:
「今は全くの白紙です。自分の弱さというものを、しっかり断ち切って、とにかく家族と穏やかな時間を、最優先に過ごしていきたいというふうに思っています。」
再起については明言を避けた乙武氏。将来、政治家になろうとなるまいと、今後の生きざまは、これまで以上に衆目を集めることになるのは間違いない。
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