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オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その2

Japan In-depth / 2016年4月29日 14時18分

オスプレイのため息「なぜいやがられるのだろう。今まで、なんにも悪いことしたことがない」 産経新聞 産経抄 4月19日


http://www.sankei.com/column/news/160419/clm1604190012-n1.html


 


産経新聞はオスプレイの高性能を謳い、如何に国防に必須の装備であるかを力説する。だがCH-46と比較することはおかしい。そもそもオスプレイはCH-46の後継機である。CH-46と較べて高性能だといってもそれは当然で、大宣伝するような話ではない。


また今回オスプレイが使用されたのは陸上自衛隊高遊原分屯地(熊本県益城町)から南阿蘇村の白水運動公園への空輸などわずか数キロの近距離だ。ヘリの2倍の速度、5倍の航続距離というオスプレイ以外のヘリでも充分にこなせた任務である。


むしろ自衛隊のCH-47の方が、搭載量が多く、より多くの物資を運ぶことが可能だ。また孤立して物資の補給が必要な場所であれば、より小さなUH-1Jなどのヘリのほうが有用である。つまり今回の任務はオスプレイでなければこなせなかったものではない。


今回の米軍の災害派遣は外交的、政治的な日米協力の象徴であり、また経験を積むためのものである。その派遣にオスプレイ以外の機体が投入されたとしても何ら問題はない。


産経新聞の報道はオスプレイ危険論に対する感情的な反論にすぎない。危険論に反論するのであればデータや機体特性、運用上のメリットなどの事実を用いて読者が納得できるような反論を行うべきだ。


そして米軍海兵隊あるいは空軍のオスプレイの運用はともかく、陸自に必要かといえばかなり怪しい。率直に申し上げれば不要である。米軍に有用だとしても自衛隊でもそうだとは限らない。


安倍政権はキチンとした評価も行わず、初めに採用ありきでオスプレイの調達を決定した。当時の小野寺防衛大臣は記者会見における筆者の質問に答えて、「オスプレイを何機調達するのか決めていない。調達してから決める」と述べている。つまり、運用構想も、必要な部隊規模の見積もりもなかったということだ。多額の予算を使う防衛装備調達では許されないデタラメさだ。他の民主国家でありえないことだ。


オスプレイの調達単価はより搭載量が多い国産のCH-47の約二倍、米国産のCH-47の3~4倍の調達単価がかかる。陸自航空隊の毎年のヘリ調達予算は300億円前後しかない。しかも整備が不足して既存ヘリの稼働率はかなり落ちている。そこに新たに調達コストも維持費も高額なオスプレイを導入すればどうなるだろうか。


17機のオスプレイでも300名ほどの新設部隊が必要だ。陸自が既存のヘリ部隊や、師団、旅団を削減でもして、その人員や予算をつぎ込むならばまだわかるのだが、そのような話もない。様々な部隊、機関から予算や人間を引きぬくことになるが、それは既存部隊のますますの弱体化を招くことになる。


更に申せば米海兵隊が導入した優秀なオスプレイをなにゆえ米陸軍が採用しなかったのだろうか。それには相応の理由がある。その辺の事情は筆者の以前の記事を参照してほしい。


まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない ① http://japan-indepth.jp/?p=2962


(オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その1の続き。オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その3に続く。全3回)

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