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諦め悪いサンダース、民主党混迷 米国のリーダーどう決まる?その15

Japan In-depth / 2016年5月5日 15時0分

諦め悪いサンダース、民主党混迷 米国のリーダーどう決まる?その15

大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)

「アメリカ本音通信」

5月3日に大統領予備選挙が行われたインディアナ州は、比較的人口が多い保守的な土地柄とされている。そのことだけを考慮すれば、共和党ではテッド・クルーズに、民主党ではヒラリー・クリントンに有利なはずだった。インディアナ州の土地柄を理解するには、州民が自らを「フージャー:Hoosier(無骨な田舎者)」と呼び、学生バスケをこよなく愛していることに留意すればよい。

ところが確固たる共和党支持の保守派にとってでさえクルーズの「好きになれないキャラ」がたたり、彼があの手この手でインディアナ票を獲得しようとしたにもかかわらず、トランプの圧勝となった。クルーズにとってインディアナ州はいわば「最後の砦」だった。対トランプのもう一人の候補、ジョン・ケーシックに、コロラドでは選挙運動をしないから、インディアナでは遠慮してくれ、と持ちかけ、これをトランプに「共謀」と非難されたあげく、その提携もすぐに破られてしまった。

さらにはインディアナ大学の伝説的バスケコーチ、ボビー・ナイトを支持者として引っ張りだし、既に撤退済みだが共和党唯一の女性大統領候補だったカーリー・フィオリーナを副大統領候補として担ぎ出し、大勢のフージャーズを前にクルーズは、バスケットボールで使われる網付きのあの輪っかを「バスケットボール・リング」と呼んでしまった。その直後にホワイトハウスで催されたマスコミ業界の重鎮をもてなす晩餐でオバマ大統領に「フープ(Hoop)という言葉も知らないで、私のことを外国人呼ばわりするんだから」と皮肉られる始末。

投票結果は17%近くも引き離されてトランプの圧勝となった。撤退を決めたクルーズのスピーチもぐだぐだと往生際が悪いもので、4年後に再び大統領選に出てくる気でいるのが手に取るようにわかる内容だった。これからトランプは「presumptive presidential nominee(推定大統領候補指名者)」と呼ばれ、最終予備選が行われる6月7日までに必要獲得数の選挙人を集め、当大会に臨む手はずが整った。

一方、民主党も妥当な予想ではどうしたってヒラリー・クリントンが大統領候補となる計算なのだが、対抗馬のバーニー・サンダースはどうしてもこれを受け入れられないのか、色々と理由をつけて民主党の党大会で「物言い」を付ける気でいる。クリントンは、短い期間で集中的にインディアナ州で選挙活動をしてもムダだと予測し、結果として下馬評通りサンダースが勝ったものの、僅差ゆえに選挙人獲得数はほんの一握りしか動かず、この先もいくら大逆転があってもサンダースに勝算はない。

それでもサンダース陣営は今さら予備選のルールが不公平だったと言ってみたり、トランプに勝つ予想率が高いのは自分の方だから自分が候補になるべきだと言ってみたり(クリントンだとトランプに負けるという事前調査があるわけではない)、耄碌した年寄りが意地を張っているようだと、リベラルなマスコミにも指摘される始末だ。

予備選開始前は圧倒的有利と目されたクリントンに対抗馬として出てきた時のサンダースは、民主党内の議論を活性化させ、リベラルな方針を再評価させたと賛辞を受けたが、今では「バーニー・ブロー(Barnie Bro)」と呼ばれる若者層がネットで誹謗中傷を繰り返し、セレブな支持者が突拍子もないことを言い出すようになっている。そして、支持者が彼を見話し始めた証拠として、彼が自慢にしてきた「小口の寄付金」が以前ほど集まらなくなってきている。

このままでは、共和党は大揉めで民主党はすんなり決まると思われていた大統領候補の選出劇が逆になるかもしれない。

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