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日産、三菱自を買収す その1

Japan In-depth / 2016年5月19日 11時0分

この説明自体になお違和感を持つ筆者ではあるが、100歩譲って全てその通りだとして、この指摘が三菱自の株価を1週間で半分以下に大暴落させたことは正真正銘の事実である(4月19日終値864円が、4月27日には最安値で412円をつけた)。仮に今回の提携合意が、株価下落の前に発表されていたとすれば、日産は倍以上の資金が必要だったことになる。果たしてこれは偶然の産物なのか。

今回の提携が“あまりに迅速にまとまりすぎている感”がある。勿論、提携交渉はスピードと極秘交渉が必須で、極々一部の交渉団が、他からライバルが出てこないうちに、ターゲットを取り込まなくてはならない。ただその一方で、出資する金額はミニマムに、リターンはマキシマムに、スキームを組み立てる必要がある。

仮に今回、不正問題がなく、株価が1年前と同水準であったら、このようなスピードで提携がまとまったのか、答えは明らかに“否”であろう。そもそも不正が無かったのならば、株価が半減になるような経営危機が三菱自に来ることもなく、三菱自にとって提携を加速させなければならない理由は無い。

日産側から見ても、提携自体の理由づけはあるにせよ、これほどの短期間でまとめなければならない理由は無い。三菱自が今回の不正で再度経営危機に陥るかもしれないし、今後どの程度の損害が発生するのか精査されたとは到底思えない段階で、34%出資を決めるというのは“スピード感”がありすぎる。シャープ、鴻海の提携時、最後の最後で、シャープに隠れ負債が見つかった例もある。

益子会長もゴーン社長も、今回の件が突然出てきた話ではなく、既に2011年頃から、自然な流れとして念頭にあったと話している。またゴーン社長は、今回の不正がこの提携話を加速させた感はあるとも言っている。それはそうだろう。日産が燃費のGAPを指摘し、株価が半分以下になり、これは投資として千載一遇の好機、結果出資を決めた。株式は割安の時に買うもの、当たり前である。結果としてこうなったのか、何かシナリオが前もって出来ていたのか、どうにもモヤモヤ感が残るのである。

(その2に続く。本シリーズ全5回。毎日11:00配信予定)

  

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