国連特別報告者、反日の系譜
Japan In-depth / 2016年5月20日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)
「古森義久の内外透視」
「日本の報道は政府により抑圧されている」――こんな託宣が国連特別報告者によって下された。さてどこにそんな実態があるのだろうか。この「報告者」の動きに光を当てると意外な事実が浮かびあがる。
アメリカのカリフォルニア大学アーバイン校のデービッド・ケイ教授がこの4月、国連特別報告者として「日本の表現の自由」を調べるために来日した。そして1週間の滞在で「日本の報道の自由は政府の抑圧により脅威にさらされている」という結論を出した。日本政府はこの結論は誤りだとして、いま反論の準備中だという。
ところが当のケイ氏は5月12日に母校のアーバイン校ですでに「日本の言論の自由への脅威」と題する公開討論を開くことを発表した。しかもその討論の相手が日本の慰安婦問題を長年、糾弾し、とくに安倍晋三首相への一方的な非難を続けてきたアメリカのコネチカット大学のアレクシス・ダデン教授、さらに討論会の共催者側には同じように慰安婦問題で日本政府を攻撃してきたジョージタウン大学のジョーダン・サンド教授が位置するのだ。
日本側の反論がまだ出ないうちにアメリカ国内で一方的に日本の「言論弾圧」への断罪を打ち上げるというこの動きに、アメリカの別の日本研究者からは「アメリカ学界の一部の偏向した安倍叩き、日本叩きの勢力が国連までを利用するという非常に政治的な動きだ」という批判も出ている。
国連特別報告者としてのケイ氏は4月12日から19日まで日本に滞在し、日本での報道の自由の実情を調査するとして、日本側の官民両方の関係者多数と面談した。その結果を4月19日に東京で記者会見して、「日本の報道の自由は政府の圧力や抑圧により危機に瀕している」という趣旨を総括した。
この結論に対し日本政府の外務省などやニュースメディアの一部は「そんな事実はない」という反論をすぐに公表した。日本政府では近くケイ氏への反論を文書にまとめて公表し、国連本部へも伝達するという。
ところが日本側のそうした公式な対応がまだ出ないうちにケイ氏の母校のカリフォルニア大学アーバイン校では「アレクシス・ダデン教授とデービッド・ケイ教授の『日本の言論の自由への脅威』についての対話が5月12日に催される」という通知が流された。この「対話」はアメリカのアジア研究学会の機関誌「アジア研究ジャーナル」の共催とされていた。この機関紙の編集長格のジョージタウン大学のジョーダン・サンド教授はダデン教授とともに慰安婦問題で日本への批判を続けてきた人物である。
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