イスラム系ロンドン市長誕生 その背景
Japan In-depth / 2016年5月21日 11時0分
ちなみにアメリカ人は自分のルーツにこだわる人が少なくないが、どう見ても白人に見える複数から「私の祖先はスコットランドからきた。もちろんインディアンの血も混じってるに決まってるが」などという説明を受けた経験がある。人間が自己を語る時のさりげない補足説明は、案外重要な意味を持つ。つまり、アメリカ人にとっては、殺戮したはずのネイティブアメリカンも、この言説では大切な自己の一部なのだ。
ここでは、米国人にとっての敵は、 その神聖な国土を侵す全ての外部であり、ネイティブアメリカンは内なるものだ。一方イスラム過激派は現代における「外」の象徴である。バブル期、ニューヨークの不動産を買いあさった日本が敵視されたのも、同様に「外」を象徴したからで、この文脈では欧州さえ外部になり得る。
つまりトランプ支持者イコール人種差別者の図式は、それほど単純ではない。この言説では、最大の侵入者がイスラム教徒として記号化されているだけで、誰がイスラムかははっきりしない。
つまり、サイクス・ピコ協定への無関心と初のイスラム系市長誕生は、英国人の自己認識からすれば矛盾しない。つまり日本からは同様に見える「イスラム」も、英国人にとってはいくつかに種分けすることができ、米国とは必ずしも一致しない。単純に見える人種・宗教対立は、内実はこのように複雑なものなのだ。
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