『忠臣蔵』はテロリズムである ネオ階級社会と時代劇その2
Japan In-depth / 2016年5月23日 15時0分
そうであれば、多くの人が強い者や勇敢に戦う者に魅力を感じることには、なんの不思議もない。
ただ、弱肉強食に徹している野生動物の世界と違って、人間社会には、本能のままに行動することを抑制する様々なシステムが存在する。具体的には法の支配と呼ばれるものだ。
法を守る者は法によっても守られる、という法治国家の精神は、近代社会の基礎と呼べるものだが、現実はと言えば、多くの人々は日々、理不尽を感じて生きている。
権力やカネを握った者は好き勝手ができるのに、自分たちはいくら働いても、恵まれた立場に立つことができない、というように。
だからこそ、権力者が実は弱者の味方であったり、たとえ法の支配に背こうとも、忠義なら忠義という価値観に殉じて行動を起こす者が出たりすると、拍手喝采となるのである。
私が、軍記物にはじまって『水戸黄門漫遊記』や『忠臣蔵』の類が、封建体制下での庶民の鬱屈に対する「ガス抜き」の効果があった、と考えるのは、こういった意味だ。
しかしながら、それが全てではない、とも考えている。
『忠臣蔵』における、亡き主君の無念を晴らす云々はひとまず置くとして、権力者が弱者の味方をするという『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』の世界観は、今でも「正義」として受け容れられる。
だからこそ,これらのドラマが人気を博したわけだが、私はここに、ある危険な側面を見ているのだ。次回は、その話を。
*トップ写真:大石内蔵助良雄像
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
赤狩りと恐怖の均衡について(下)「核のない世界」を諦めない その5
Japan In-depth / 2024年5月1日 11時0分
-
ニュースの核心 左翼とリベラリズムでは国を守れない 衆院東京15区補選、新しい「保守主義」を体現する戦い 聴衆の心つかむ飯山氏の弁舌
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月26日 14時48分
-
佐川満男さん死去、84歳 NHK朝ドラ「おちょやん」「カムカムエヴリバディ」など出演
日刊スポーツ / 2024年4月20日 16時42分
-
茨城・石岡市 低い知名度を打破 「黄門さま、アントラーズに負けない」と歴史前面に
産経ニュース / 2024年4月20日 10時0分
-
佐藤優が"筆を断つ覚悟"で断言「ガザの病院を隠れ蓑にハマスがテロ行為を行っている蓋然性は極めて高い」
プレジデントオンライン / 2024年4月5日 9時15分
ランキング
-
1那須2遺体、指示役が都内の暴行現場で見張りか…周辺の防犯カメラで確認
読売新聞 / 2024年5月2日 22時4分
-
218歳の男を殺人などの罪で起訴、実名を公表 浜名湖高校生殺害
日テレNEWS NNN / 2024年5月2日 20時17分
-
3人的ミスで在宅センサーが停止、死亡把握が遅れた可能性 横浜市
毎日新聞 / 2024年5月2日 20時32分
-
4日仏首脳会談 自衛隊と仏軍の訓練など「円滑化協定」交渉開始で合意
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月2日 23時37分
-
5「あれはいいものだ…」あまりの人気に想定外の事態『ガンダムマンホール』引越し大作戦 新潟県南魚沼市
BSN新潟放送 / 2024年5月2日 22時13分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください