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サミット、東アジアの安保アピールせよ

Japan In-depth / 2016年5月24日 8時30分

サミット、東アジアの安保アピールせよ

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2016年5月23日-30日)」

今週の焦点は何といってもサミットとオバマ広島訪問だろう。4月11日のカレンダーで筆者は「現職の米大統領が伊勢志摩サミットに合わせて被爆地広島を訪問するか否かはまだ未知数」、「ケリー長官が米国の保守派を如何に説得できるかがカギ」と書いた。米国の今回の英断は高く評価すべきだろう。

現職大統領の広島訪問は日米関係に新たな扉を開く画期的な出来事だ。国際的にも大きく報じられるだろう。この英断にケチをつけたのが沖縄での殺人事件だが、一点だけ明確にしておきたい。この事件の捜査を日米地位協定が妨げたことはない。当該軍属は公務中でなく裁判管轄権は当然日本側にあるからだ。

大統領の広島訪問で煽りを受けたのは伊勢志摩サミットだろう。今回のサミットは何が重要なのかとよく聞かれるが、それはズバリ、「日本が主催し、議論をリードし、メッセージ発出で主導権を握れる」ことに尽きる。7年に一回しか回ってこないこのチャンスを生かさない手はないだろう。

G7は欧米主導で始まった。初めはG6で二回目からカナダが参加しG7になった。日本が初めて主催したのは1979年、筆者は外務省二年生だった。以前は東アジアの政治・経済上の重要性がなかなか反映されなかった。今回は東アジアの安全保障、経済成長の重要性をアピールする良い機会だ。成功を祈ろう。

 

〇欧州・ロシア 

24日に欧州委員会がポーランドについて議論する。ワルシャワでは今月初め現政権の強権政治に反対する集会があり、市民ら約24万人がデモ行進した。同政権は憲法裁判所が違憲判断などを出すための要件を厳格化し、機能を弱体化させる恐れのある改革を断行した上にメディア幹部人事にも介入したという。これも欧州の「ダークサイド」対EUの一局面だ。

〇東アジア・大洋州

サミットとオバマ広島訪問以外に特記事項なし。

〇中東・アフリカ

先週末、米国防総省はターリバーンの指導者マンスール師を標的とした攻撃を実施したと発表した。これに対し、ターリバーン側は後継者選びを始めたというから、恐らく死亡したのだろう。米側はマンスール師がいる限り交渉には乗ってこないと考えたのか。後継候補には創設者・故オマル師の息子など幹部の名が挙がっているそうだが、これで武装闘争が終わる筈はない。悲劇は悲劇を呼ぶだけである。

○アメリカ両大陸

米大統領選がますます混沌としてきた。トランプとヒラリーとサンダースの支持率の差が徐々に縮小しているのだが、こんなことは通常、選挙戦終盤まであまりないことだ。この時点でこうした現象が起こるということは、米国民がどの選択肢にも満足せず、迷っているということ。これは由々しき事態である。

〇インド亜大陸 

24日からインド大統領が訪中する。大統領職は形式的・象徴的存在で、どちらかというと少数派に割り当てられるようだ。国家元首だから名誉はあるが、政治的実権は首相が握っている。では、中国の国家主席と一体何を話すのだろうか。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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