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中国が沖縄に攻めてこないわけ

Japan In-depth / 2016年5月27日 18時0分

 そして戦闘で勝てるかも厳しい。

 日本は単独でも強力であり、有力な海空戦力を保有している。もちろん量的優位は失っているため、中国に対して真正面で戦って勝てるかはわからない。だが、A2AD(Anti─Access/Area Denial、A2AD : 接近阻止・領域拒否)により、中国が東シナ海を利用できなくすれば沖縄への上陸戦はできない。

 さらに、それに米国が加わると絶望的となる。米国が航空戦力の2割でも増援に送り込めば戦闘機戦力は逆転し日米有利となる。そして米海軍により世界中で中国向け海上輸送は止められる。さらに今まで営々として築いてきた南シナ海や南アジアの権益も、米国やその他の国に失われる。全くいいことはない。

■ 列島線突破での障害撤去は、ない

 果たしてこの不利を犯し対日戦を決意し、沖縄に侵攻するだろうか?

 日本では中国脅威論において奇妙な説明がされることがある。「逆さ地図理論」とでも言うべき理屈である。「中国が太平洋にアクセスするには琉球列島線を通過する必要がある。だから障害となる沖縄を狙うのだ」と括られるものだ。 

 この理屈には本質的な欠陥がある。本質的な対日米戦となり沖縄侵攻をすれば、それで中国は艦隊戦力を溶かしてしまうというものだ。沖縄が占領できるかどうかは厳しいが、もしそれができたとしても、その時には通すべき中国艦隊はなくなってしまうのである。

 ちなみに、列島線突破云々で米国が参戦しない状況は考える必要はない。それならば中国艦隊に列島線を好きに通してやればよいだけの話であるためだ。そもそも中国には通過の権利がある。それを行使することについては目くじらを立てる必要はない。緊張時でも「中国艦隊が日本の海上輸送を攻撃しないならば、日本は列島線通過を妨害しない」と約束すればよい。 

■ 日米同盟と在沖米軍と海兵隊駐留は別

 以上が、中国は沖縄を攻めない理由である。実際に今の日中関係、日米関係ではそれはありえないためだ。

 これは沖縄への米軍駐留で変わるものではない。日本の自衛隊だけでも強力であるし、そもそも日米同盟があれば在沖米軍がいようがいまいが中国は沖縄に手は出せない。

 そして、基地問題を解決する上でのヒントともなる。日米同盟と在沖米軍、海兵隊駐留は三位一体ではないことを示しているためだ。

 つまり、日米同盟の下でも海兵隊だけを撤退させる選択肢もあるということだ。

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