ベッキー騒動とスポンサー企業(中) 提供社への苦情は局に伝わる
Japan In-depth / 2016年5月31日 11時0分
しかし、説明責任や謹慎期間が不十分と見られているベッキーが好きな番組に出演している場合、彼女に不信感を抱く視聴者には、ごひいきの番組を不快に感じながら視聴するか、好きな番組なのに見ないという、いずれにせよ納得できない選択しか残されていない。
ベッキーがレギュラー出演するTBS系『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』を提供するセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一新社長は、最近の記者会見で、「企業の内側の論理で物事が決まると、表に透明性や合理性が見えなくなる」と発言した。
芸能事務所やテレビ局が公共の電波を私物化するなかで、業界の論理によりベッキー早期復帰が既定路線になり、最も大切な当事者たる視聴者の不信の感情が否定されることは、透明性や合理性を欠く本末転倒だ。なお、セブン&アイは筆者の取材には回答しなかった。
経営の神様こと故松下幸之助翁は、企業の成功を金魚に譬え、こう述べている。
「早い話が、金魚な。あれを飼うのに金魚そのものを考えるだけではあかんわね。水を考えんとね。金魚ばかり考えて、水を軽視したら、金魚、すぐ死んでしまうがな」。
企業や商品は、顧客からの信用を失えば、死んでしまうのである。
(6月1日11:00配信予定「(下)失われた商品の信用を取り戻す道」につづく。「(上)番組制作に干渉できない提供社」全3回)
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