テロ計画の仏人逮捕 脅威は続く
Japan In-depth / 2016年6月7日 0時52分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
6月6日の月曜日よりラマダンが始まったが、同時にテロ行為を計画していたフランス人の男が、ウクライナとポーランドの国境で逮捕されていたと各国メディアから一斉に報道された。
先日海外在住者には、各国の日本大使館を通じて「5月21日、イスラム過激派組織ISILは,ラマダン期間中のテロを広く呼びかける声明をインターネット上に公開しました。同声明では、特に欧米諸国におけるテロの実行を呼びかけており、民間人を対象としたいわゆる一匹狼(ローンウルフ)型のテロの発生も懸念されます。」と連絡されたばかりのところだ。
ラマダンとはイスラム教にとって最も神聖な月であるヒジュラ暦の第9月のことで、イスラム教徒が断食をする期間としても知られている。ヒジュラ暦は太陰暦のため、新月の位置を観測してラマダン入りを判断するため毎年ラマダンの時期が違うが、今年は特に「ツール・ド・フランス」、「サッカーの欧州選手権(ユーロ2016)」の時期と重なっていることを受け、フランスの非常事態の期間も延長され、7月末まで厳重に警備されることは決まっていたのだ。
ウクライナ当局によって逮捕された男の名前はグレゴワール・マトゥー(25歳)。ウクライナ国家保安庁のヴァシル・フリツァク長官によれば、マトゥーは同国とポーランドの国境で「カラシニコフ銃5丁、銃弾5000発以上、グレネード・ランチャー2門、TNT火薬125キロ、雷管100本」など大量の武器を所持しており、橋や高速道路、モスクなどを含む15カ所の攻撃を企てていたようだ。
また、フランスメディア『M6』によると、その男はフランス北東部ロレーヌ地方出身でナンシーの近くに住む、農業組合で働くフランス人だと特定されていると言う。
ラマダンが始まってから最初にあるフランスの大きなイベントは6月10日に開幕するサッカーの欧州選手権だが、5月の時点ですでにフランスのカズヌーブ内相は、安全を期するため警察や兵士、警備員を9万人以上動員すると発表しており、準備は進められている。
一つの脅威は去ったが、他にも何があるかはわからない。過去のテロの発生事例から、イスラム教での「集団礼拝の日」である金曜日にテロが起きやすいとの傾向も指摘されてもいる。2016年のラマダン期間6月6日から7月5日であり、金曜日は6月10日、17日、24日、7月1日となる。
外務省も、期間中やその前後に海外に渡航・滞在する場合は、常に注意が必要と言う認識を持って行動するよう呼び掛けている。特に人混みでは、十分注意をしたいところだ。
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