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消費税率引き上げ単純延期では不十分

Japan In-depth / 2016年6月8日 12時0分

負担増が嫌なのは誰しも、そしていつでも変わらない。しかし、他方でもし歳入面での負担増を社会として受け入れないのであれば、どこからか先の世代は、今の世代が享受している健康保険、年金、介護保険のサービスを受けることができなくなる。昨今、一人暮らしの高齢者で生活保護を受けている人の数が増加しているが、そのサービスも同様だ。

当面うまく行きそうだからという理由で、いつかは必ず起こる世代間の不公平、子孫に皺を寄せるかたち起こる不公平の発生に目をつぶるかどうかが今問われているのである。政治は、そういう難儀な問題について、辛い現実から逃避せず、長い目でみてコストが少しでも小さい対応策を、社会全体として見出す過程をリードする役割を担っている。決して、誰しもが心の中に持っている、大変なことからは逃げたいという気持ちを刺激して、安易な道へと社会を誘導することが政治の役割ではない。

一方、行政には政治家が大変な作業を進めていく上で、参謀としてさまざまな現実的オプションを提示する機能が割り当てられている。例えば、まずはプライマリー・バランス(基礎的財政収支)の赤字を解消することが必要なのだから、最低それが実現するまでは、マクロ経済的にマイナスの影響が十分に小さいような小刻みの消費税増税を継続する仕組みを考えられないのか。価格改定に伴う事務コストを引き下げ、かつ流通過程の交渉力の弱い部分に過重な負担がかからないような仕組みのアイディアはいろいろとあるはずだ。

また、財政再建の展望が拓けるまでの間、歳出の節約を進めるためのアイディアはそれこそ無数にあるだろう。それらを組み合わせた政策対応のパッケージこそ、次の参議院選挙での争点となって然るべきではないか。

マイナス金利にまで踏み込んだ金融政策。経済規模の2倍にまで膨れ上がっている政府債務。そうした現状に鑑みれば、ここで単に10%への消費税増税のタイミングを後にずらすだけでは、それでなくとも短くなっている猶予時間がますます足らなくなるだけだ。

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