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フロリダ銃撃テロ 今の米国を象徴

Japan In-depth / 2016年6月14日 18時0分

フロリダ銃撃テロ 今の米国を象徴

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2016年6月13日-6月19日)」

今週は12日の米国史上最悪の銃撃大量殺人事件で始まった。この原稿執筆時点で少なくとも50名が亡くなっている。あれだけ銃乱射事件が頻発する米国でも一度に50人の死者が出るのは初めてだ。

襲われたのは同性愛主義者、襲ったのがイスラム主義者ならば、テロであり、ヘイトでもあるこの事件は今の米国を象徴するのだろうか。

このオーランドの事件が「アメリカ的」なら、実に「中国的」な事件が同日上海の空港ターミナルで起きた。男がビール瓶を使った手製の爆発物をチェックインカウンター前に投げて爆発させた後、刃物で自分の首を切り自殺を図ったが、近くにいたフィリピン人を含む旅客4人が瓶の破片で負傷したそうだ。

どちらも「イスラム」が絡む可能性のある「テロ」事件のようだが、米国では発生直後からケーブル局が事件のあらゆる局面を四六時中報じているのに対し、中国では第一報以降、殆ど続報はない。ナイフで首を切る自殺を図ったあたりはイスラム過激派であっても不思議はないが、もしかしたら、そうだからこそ続報がないのかもしれない。

これだけの情報で両方ともイスラム過激主義者の仕業と断定することは出来ない。また、米国の事件ではイスラム国の「影響」はあっても、「指示」があったかどうかは不明だ。中国の事件に至ってはウイグルかどうかも分からないのだが、いずれもイスラム教の断食月に入って一週間の12日に起きたことが偶然であることを祈りたい。

 

〇欧州・ロシア 

欧州は概ね静かだ。13日にフランス上院が問題となっている労働法改正問題を審議し、14-15日はNATO国防大臣会合が開かれ、16日にはユーロ圏財務大臣会合がある。欧州のコンセンサス作りは日本よりも時間がかかるのだろうか。

〇東アジア・大洋州

12-14日に独首相がまた訪中する。メルケル首相にとっては9度目の訪中だそうだが、彼女の独首相としての訪日はG7会合を除けば、2007年と2015年の二回だけ。他方、報道を見る限り、今回独の対応は変化しているという。さすがのメルケルも現実を見始めたか、それとも伊勢志摩サミットでの安倍首相の「擦り込み」が奏功したか。

〇中東・アフリカ

今週最も気になるのは14-16日に予定されているサウジアラビア副皇太子MbS(ムハンマド・ビン・サルマーン)の訪米だ。この弱冠30歳の王子は今やサウジアラビア最大の権力者。このMbSが米国で何を話し、何を要求するのか、更にはオバマ政権が何と回答するか。これらが今週はとても、とても気になる。

○アメリカ両大陸

冒頭述べた通り。

〇インド亜大陸 

13-17日に印米日三国海軍による合同演習がフィリピン海で行われる。インド海軍のウェブサイトによれば、この演習はインドの「Act East」政策の一環であり、2007年からインド洋と西太平洋で交互に開催されているという。インド海軍の動きは中国も気にしているだろう。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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