ツケ払うのは英国だけでなく日本も EU離脱・英国の未来像その1
Japan In-depth / 2016年6月27日 0時0分
こうした地域間の対立感情だけではなく、今次の国民投票で明らかとなったのは、階級間の対立と、世代間の対立の根深さである。たとえばロンドンでは、60%が残留派であったが、これはやはり、EUという単一市場を相手にしたビジネスで利益を得ている中産階級や、EUに拠出した資金からの割戻金で利益を得ている学生(英国の学術研究予算の25%は、この割戻金)などが、残留に票を投じた結果に違いない。
これに対して、地方の工業都市では、おおむね逆の結果が出た。たとえばサンダーランドだが、日産の工場もあり、残留を支持する労働党の金城湯池であったにも関わらず、離脱派が多数となったのである。
要するに、残留派のステレオタイプは、経済的にも教養の面でも比較的恵まれた層で、離脱派のそれは、恵まれていないと感じる旧世代、と言える。この構図と言うか対立の図式は、決して目新しいものではなかったけれども、今次の国民投票で大きな亀裂が生じたことだけは確かだ。
これは前にも述べたことだが、EUから離脱したからと言って、移民を残らず追い出せるはずもなく、単一市場から閉め出されるデメリットは、ほどなく明らかとなろう。
イングランドの労働者階級は、相当高いツケを払わねばならない。
もうひとつ、このツケを回されそうなのが、他ならぬ我々日本人だ。
為替の混乱、株価の大暴落については、すでに報じられた通りだが、アベノミクスと称される経済再建策は、円安・株高でなければ成立し得ないが、世界経済は真逆の方向に進みつつある。
安全保障面でも、英国がヨーロッパにおいて「独立ではなく孤立」の道を歩むとすれば、必然的に中国とロシアに接近するしかない。これはアジアのパワーバランスに(軍事面のみならず経済面でも)決してよい影響は与えないだろう。つくづく、困ったことをしてくれた。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
英国で政権交代が起きた理由(下) 「選挙の夏」も多種多様 その2
Japan In-depth / 2024年7月17日 11時0分
-
社説:英国の政権交代 内外の分断、つなげるか
京都新聞 / 2024年7月12日 16時0分
-
フランス総選挙で予想外、極右政党「急失速」のなぜ それでも「マクロンは終わった」と指摘される理由
東洋経済オンライン / 2024年7月10日 7時30分
-
焦点:英総選挙圧勝の労働党、経済立て直しに「魔法の杖」なし
ロイター / 2024年7月5日 19時44分
-
イギリス総選挙 政権交代しても、お先真っ暗な英国の未来
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月5日 16時20分
ランキング
-
1バイデン大統領、米大統領選からの撤退を表明 代わりの候補としてハリス副大統領を指名
日テレNEWS NNN / 2024年7月22日 3時30分
-
2党内からの「撤退圧力」強まるバイデン氏、進退の判断にはジル夫人らの意向が影響か
読売新聞 / 2024年7月21日 9時45分
-
3トランプ氏、右耳の傷は幅2センチ=元主治医が明かす
時事通信 / 2024年7月21日 14時26分
-
4《トランプ前大統領銃撃事件で使用》「全米で広く出回る」AR-15ライフル、日本の暴力団が「使わない」理由
NEWSポストセブン / 2024年7月21日 16時15分
-
5「トランプ氏なら終戦可能」 ジョンソン元英首相が寄稿
共同通信 / 2024年7月21日 22時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)