Brexit 「離婚」か「別居」か?
Japan In-depth / 2016年6月27日 7時0分
ではこの「レファレンダム劇」の勝者は誰で、今後予想されるシナリオとはどのようなものなのか。レファレンダムの勝者は、決してEU離脱に投票した人々ではない。EUへ投資していた£ 350 millionをNHSに充てると宣言したイギリス独立党 (UKIP)のナイジェル・ファラージは、レファレンダム後あっさりとその宣言を撤回。
保守党ダニエル・ハナンはEUを離脱したところで今後移民の数が減る見込みがないことを示唆している。結局、離脱を求めていた人々が望む強い福祉国家を満喫することもなく、また見て見ぬ振りをしたい移民問題から逃げることもできない、という現状維持の状態に甘んじる他ないようだ。
初めから離脱をしたらどうなるのかという結果について曖昧であったこのレファレンダムで勝者がいるとするならば、それは離脱キャンペーンを成功させた同じく保守党のボリス・ジョンソンとマイケル・ゴーブかもしれない。しかし確かなプランもなく、今後彼らがEUとの交渉にどのように関わっていくことができるのか、疑問は大きい。
彼ら自身、Brexitをかけたレファレンダムの結果がどうであれ実際にEUとの関係を完全に断ち切ることはできないと知りながら、政治的に大衆の声を利用したにすぎないのだ。
この離婚劇の中で一番重要なのは、こうした劇の主人公らのほとんどがオックスフォード、そしてともすればイートン校出身者であるということだ。こうしたイギリス社会に根付いた階級と構造を根本から解決しない限り、大衆は彼らの劇の中で安易に踊らされることになる。今後のイギリスの行方は、ポンドの急落が示す通り明るいとは言えない。
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
結局「ポピュリズム」とは何なのか...世界中が「極端な政党」に熱狂する理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 17時20分
-
【本誌独占インタビュー】トニー・ブレア英元首相が語る「中東和平への道」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 16時23分
-
トランプは威信を懸けてウクライナを停戦させる 「威信」こそがアメリカファーストの根幹だ
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 15時0分
-
シニカルなイギリス風ユーモアでスターマー英首相を斬ると...
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月9日 15時3分
-
日本の安倍政権と同様に、トランプを支えるのは生活に余裕がある「保守浮動票」
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月30日 10時30分
ランキング
-
1対人地雷の「再び高まる脅威」懸念 国連事務総長 米の供与発表後
AFPBB News / 2024年11月25日 19時25分
-
2英仏、ウクライナ派兵議論か=トランプ氏就任に備え―ルモンド紙報道
時事通信 / 2024年11月25日 21時46分
-
3一晩で20万人超が一斉サイクリング、「道一帯が自転車でふさがる」…中国政府は抗議行動再燃を警戒し外出規制も
読売新聞 / 2024年11月25日 19時53分
-
4米地裁、議会襲撃でトランプ氏起訴取り下げ認める 検察の申請受け
ロイター / 2024年11月26日 8時45分
-
5レバノン停戦「合意目前」 米仏大統領、近く発表か
共同通信 / 2024年11月26日 9時27分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください