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政党は扇動すれども統治せず? EU離脱・英国の未来像その6

Japan In-depth / 2016年7月25日 18時0分

しかも、日常的に政治活動に参加している自覚的な党員の平均年齢は、今や64歳になったという報道もあった。

一方の労働党だが、こちらはもともと、労働組合運動の政治部門として組織されたという歴史を持つほどなので、単純な比較はできないのだが、労組のメンバーを除いた個人党員に話を限ると、やはり1950年代には100万人を超えていたものが、現在は19万4000名ほどと激減している。こちらの現象の理由は、ブレア政権時代に、あまりに中道寄りの政策をとりすぎて、社会主義の旗を降ろしてしまったことにあるとされる。

その見方を裏付けるかのように、 2015年の党首選を制してその座に就いたジェームス・コービン氏は、反核・反原発を掲げる、今の日本で言えばサヨクみたいな人物だ。こういう人が一般党員および労組の支持を受けているということは、労働党の現状に対する不満が、それだけ強いということであろう。

もっとも、そのコービン党首は今、議会労働党(=国会議員)から、猛烈な突き上げを受けている。彼自身はEU残留派であることを公言していたが、その実は「大きな政府による福祉国家の再建」という政治理念を隠そうともしない人物であって、EUが加盟国に求める財政規律の強化には反対していた。とどのつまり、残留キャンペーンにあまり熱心でなかったとして、戦犯扱いされているというわけだ。保守党・労働党ともに、責任政党としての役割を果たそうとすればするほど、下部党員からの反発を招く、というジレンマを抱えているのである。

英国王室のあり方について、「君臨すれども統治せず」という言葉があまりにも有名だが、今や英国の二大政党は、統治能力を喪失して、単に政治的スローガンを連呼するだけの組織になり果てようとしていることが、今次の国民投票によって露呈してしまったと言えるだろう。

そもそも、かくも大事な問題を国民投票に委ねるという決定自体、議会政治家の責任放棄ではなかったか。この離脱問題が今後どうなるか、まだまだ余談を許さない要素が多いが、それだけに、迷走と無縁でいられる政治家はいない、ということだけは言えるだろう。

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