ドーピングの誘惑 選手の倫理観は無力
Japan In-depth / 2016年8月17日 21時15分
特に、中東や社会主義国、ロシアの国では国際的なプレゼンスをあげてくれたということに対しての対価を国家が支払う傾向が強い。金メダル取ったら、階級が手に入るんだと言っていた中東の選手がいたし、家をもらったというキューバの選手がいた。
ドーピングの問題を選手の倫理観で抑制しようとしているように見えるが、勝利への強い圧力がかかる以上(選手だけではなく国家側にも)、防ぐことは容易ではない。今までは投薬中心だからわかりやすかったけれど、これから先の世界は遺伝子ドーピングや、脳へのドーピング、血液ドーピング(すでに存在する)などの世界が待っている。
トップアスリートの精子を精子バンクで購入し妊娠をすることを禁じられるのか。どれも痕跡を探すことが極めて難しい。そして、これからテクノロジーの進化によりそもそも一体何がドーピングなのかを決めること自体が難しくなる。
金メダルを獲得した選手が尊敬され、メダル数を増やした国が尊敬される。人々の記憶に刻まれるということの喜びはとてつもなく大きい。個人にとっても国家にとっても。日本のようにアンチドーピングが根付いている国に生まれたからよかったが、私がそんなものどうでもいいと思っている国の選手であった場合ドーピングを行うことを拒否できたのかどうかよくわからない。国の名誉のためだと言われれば。なんのためにお前をこれまで強化をしてきたんだと言われれば。
アスリートの理想的な意見は”ドーピングはいけません。スポーツの価値を損ないます”でいいだろう。一方で、勝利することへの、記憶に刻まれることへのどうしようもない欲求といかにして向き合うべきだろうか。ちょうど先週、自己実現への欲求と、依存症は深い関係があるんですと聞いたばかりだった。
(為末大HPより)
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