ブルキニ論争に終止符 再燃懸念も
Japan In-depth / 2016年9月3日 23時0分
そして8月26日。ようやく行政訴訟における最高裁判所としての役割を持つ国務院にて、冷静な判断がくだされたのだ。ブルキニ着用禁止は「基本的自由を侵害する深刻かつ明白な違法行為」に当たると結論づけ、訴えがあった町ヴィルヌーヴ=ルベにおいてのブルキニ禁止命令を無効としたのである。
その結果を受け、一部の反対を唱えていた私の周り人の中には大きな衝撃を受けていた人もいた。それはブルキニがどうと言うよりも、自分たちが正しいと信じて疑ってなかったことが、根底から否定されたことへの衝撃のようにも見えた。我に返ったとも言い換えられるかもしれない。
カンヌやフレジュス、ニースではを国務院の結果をうけてもブルキニ禁止を継続したが、禁止期間の最終日8月31日を目前にして各裁判所で無効の決定が下ることとなり、発展した近代国家においてさえ「女性が自分の好きな服を着るという自由」を、こうもいとも簡単に奪い去れると思い知らされた狂気の夏がこうして終わったのだ。
しかしながら、一息ついたのもつかの間。すでに、ブルキニは来年の大統領選に向けて政治の駆け引きの材料としても使われ始めている。
2017年の大統領選挙に立候補を表明したニコラ・サルコジ前大統領は、自分が再選された場合はブルキニを禁止するべく憲法を改正するとまで公約した。フィガロ紙でのインタビューでも、サルコジ氏はブルキニ着用を「軍事的、挑発的、政治的な行為」であり、「何もしないとフランスは弱腰だと思われ、この国はさらに没落してしまう」と答えている。
ヴァルス首相は、「(フランスの自由の象徴である)マリアンヌの胸はヴェールで覆われてはいない。なぜならマリアンヌは自由だからだ。」と述べて、「隠すよりも、女性は胸を露出する方がよりフランスの精神にふさわしい」と、反ブルキニ姿勢を続ける構えだ。
複雑に絡み合った問題を含むブルキニに対する議論は今後もまだまだ続いていくことは間違いないだろう。しかしながら、この夏起こったような「女性の権利、人の権利を奪う行為」には発展しないように願うばかりだ。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
フランスで急速に進む少子化の衝撃
Japan In-depth / 2024年11月18日 17時0分
-
衝撃続く〝トランプ人事〟 FBI長官候補に解体論者「ディープステートの博物館にする」との主張も 国防長官候補には性的暴行疑惑
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月18日 6時32分
-
初の女性大臣は「売春を広めた罪」で銃殺刑に…ミニスカートの女性たちが一掃された"イスラム国家"の実態
プレジデントオンライン / 2024年11月12日 18時15分
-
アムステルダム、3日間デモ禁止 イスラエル人サッカー観客襲撃で
ロイター / 2024年11月9日 6時20分
-
変装名人の33歳女性万引き常習犯 裁判所から「カツラ着用禁止」命令
東スポWEB / 2024年11月1日 19時0分
ランキング
-
1【速報】韓国外務省が「日本が見せた態度」への遺憾を日本大使館に伝える 「佐渡島の金山」の追悼式に不参加
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月26日 15時4分
-
2仏英、ウクライナへの部隊派遣を検討か トランプ米政権視野に浮上 仏紙報道
産経ニュース / 2024年11月26日 10時39分
-
3トランプ2.0、強気の「MAGA」が逆目に出る時
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月26日 14時0分
-
4セルビアの文化財の時計塔に中国語の落書き!中国ネット「恥ずかしい」「中国人とは限らない」
Record China / 2024年11月26日 13時0分
-
5リトアニアで貨物機墜落、1人死亡 ドイツは外国の関与示唆
AFPBB News / 2024年11月26日 12時38分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください