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いつまで続く中国の低姿勢

Japan In-depth / 2016年9月6日 11時0分

いつまで続く中国の低姿勢

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)


「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(9月5-11日)」


今週の焦点はG20の場での日中首脳会談だったが、会談は先ほど(5日夜)終わったらしい。安倍首相は尖閣周辺の領海侵入で中国に自制を要求したのに対し、習近平主席は「日本は言動に注意すべし」と発言したらしい。おいおい、言動を注意すべきは中国側じゃないのか、などと茶々を入れても仕方がない。相手は中国人なのだから。


それでも、報道によれば、双方は偶発的衝突を回避する日中防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の早期運用開始に向け協議を加速させることで合意したというから、日中関係にとっては一歩前進かもしれない。問題はそのような中国側の低姿勢がいつまで続くかだ。このままでは国内の対外強硬派が黙っていないと思うのだが・・・。


3日には米中首脳会談が開かれたが、ここでも目立った進展はなかった。オバマ大統領は、「例えば人権問題を提起した時に、習氏が他の国の指導者と会う時には起きないであろう緊張が走った」と振り返ったそうだ。習近平主席が如何にこの種の批判に脆弱かを示す興味深いエピソードではないか。米中は今回も並行線だったようだ。


 


〇欧州・ロシア 


今週から欧州諸国は本格的に仕事を再開する。長い長い夏季休暇が漸く終わるのだ。8日には欧州中央銀行理事会が開かれ、8-9日にはEUと北アフリカ諸国の担当閣僚が安全保障問題を議論する。主要議題は難民問題に違いない。参加国にはエジプト、ヨルダン、レバノン、リビア、サウジアラビア、UAEなどアラブ諸国が含まれる。


最も興味深いのは、5日から英国議会で「EUメンバーシップ」について二回目の国民投票を実施するか否か議論することだ。英国国民は一回目は「感情的勢い」で賛成したが、二度目は結果が違うというのか。間違った国民投票の結果は別の国民投票でしか是正できないという理屈なのだろうが、あまり良いアイディアだとは思わない。


〇東アジア・大洋州


G20サミットの次の大きなイベントは、6-8日にラオスで開かれるASEAN首脳会議だ。G20では南シナ海問題の封印に成功した中国だが、「ここでも封印」は不可能だろう。勿論、ラオスはASEANでも最親中国家の一つだから、あまり大きな成果は期待できない。ちなみにオバマのビエンチャン訪問は現職大統領として初めてだそうだ。


〇中東・アフリカ


10-15日にイスラム教のハッジ(メッカへの巡礼)が行われる。全てのイスラム教徒が一生に一度は行うべき義務で、いわゆる「五行」の一つだ。ムスリムではないのでその感覚は今一つ判らないが、ハッジを達成した巡礼者はムスリムとしての「ステージ」が一段上がると言われるほど深い心理的な意義を有するのだそうだ。


〇アメリカ両大陸


米国の大統領選挙戦は相変わらずで、第一回目の討論会が開かれる9月26日まで泥仕合が続くだろう。この四年に一度の大統領選挙については、「今回は史上最低の大統領選挙」などと揶揄されることが多いのだが、今回ばかりは本当に史上最低の候補者同士の争いになっている。これでは民主政治ではなく、衆愚政治に近い。


〇インド亜大陸は特記事項なし。 


今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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