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「男系の伝統」の本質を問う 知られざる王者の退位 その8

Japan In-depth / 2016年9月7日 11時0分

私自身は、女性天皇即位は認めてよいし、その結果として男系の伝統が変わることがあっても受け容れるべき、と考えている。理由は割合簡単で、竹田氏や小林氏の言う「2000年の男系の伝統」が、いかにして維持されてきたのか、という問題意識がまずあるからだ。

それは、疑いもなく側室制度である。

今上で135代目とされる天皇だが、過去、60人以上の天皇は皇后ではない女性を母として誕生している。実は大正天皇もその一人で、側室制度が公式に廃止されたのは、昭和の世となってからなのだ。

さらに言えば、側室制度があったために、膨大な数の「皇位継承権者」が誕生した例もあり、その場合、あまり身分が高くない女性の子は臣籍降下、すなわち皇族から除外されて、新たな家系を作ることとなった。

代表的なものが桓武平氏・清和源氏で、武士のルーツについては諸説あるものの、臣籍降下した旧皇族から「軍事貴族」への流れに求める説も有力である。詳しくは拙著『武士の正体 読み直す日本史』(電子版配信中)をご参照いただきたい。

とどのつまり、どうあっても男系の伝統を維持せねばならない、という議論を突き詰めて行くと、40年間にわたって男児が誕生しなかった現実もあって、側室制度の復活をも視野に入れねばならなくなるのである。今時、誰がそのようなことを支持するであろうか。

ことによると竹田氏の「養子論」も、「側室制度の復活よりは、多くの国民の理解が得られるのではないか」という文脈で理解すべきなのかも知れない。

再三述べている通り、今上の生前退位の問題に話を限るならば、国民世論の支持を背景に、特別立法で乗り切れるかも知れない。しかし、その先の問題は、ただちに大胆な議論を始めねばならないのだ。

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