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インドネシアのテロ組織、発火寸前 シンガポール攻撃計画も

Japan In-depth / 2016年9月14日 18時0分

バタム島は国際空港とともにシンガポールからの直行フェリー、高速船が到着する玄関口で、その気になれば船での密入国も比較的容易な距離にある。バタム島はまたシンガポールの富裕層中国系市民や外国人観光客の遊び場としても知られている。船着き場に近い繁華街ナゴヤは週末ともなると、飲食店やカラオケ店が軒を連ねる歓楽街にシンガポール人、インド系市民、欧米の外国人などがあふれ、中国語や英語など各国語が飛び交う。それだけに過激派メンバーのウイグル人が潜伏するには格好の地区でもあるのだ。


■手柄、誇示を狙う新興テロ組織


このKGRという組織は7月にインドネシア・ジャワ島中部のソロで市警本部が爆弾テロ攻撃を受けた事件の容疑者とも関係があるとされ、ウイグル人組織と連携しながら組織の拡大を図ろうとしているとして治安当局が警戒を強めている。


インドネシアのイスラム過激組織はかつてアルカイダとの関連が指摘された東南アジアのテロ組織「ジェマ・イスラミア(JI)」が各地で爆弾テロを実行したが、治安当局による壊滅作戦や精神的指導者の逮捕で勢力を弱め、代わってJIから分派した少数過激組織が各地に誕生している。スラウェシ島中部のポソを拠点としていた「東インドネシアのムジャヒディン(MIT)」やジャワ島中部ソロで活動する「西インドネシアのムジャヒディン(MIB)」、そしてバタム島のKGRなどである。


いずれも中東のテロ組織「イスラム国(IS)」との連帯を標榜し、ISメンバーのインドネシア人の指示を受けているとも指摘されているが、小火器や手製爆弾による小規模、ゲリラ的テロでソフトターゲットを狙うという戦術で存在感を誇示しようとしている。


■今も明日もそこかしこにある危機


1月の首都ジャカルタ中心部でのテロ、7月のソロ市警本部の自爆テロ、8月には爆発物に使用する予定の化学物質を所持していたテロ容疑者がスマトラ島ランプンで逮捕、と既遂、未遂を含めインドネシア全土には危うい状況が静かにしかし確実に醸成されつつある。


インドネシア各地で蠢動を始めているこうしたテロ組織は当局の厳しい取り締まり、摘発で追い込まれているのも事実で、「窮鼠猫を噛む」状態によるテロへの懸念も高まっている。彼らは過激ながらも規模が比較的小さい組織でメンバーも少ないことなどから「最小限の実力行使で最大限の効果」を狙っていると治安当局ではみている。イラクやシリア、アフガニスタンなどでの自爆テロや自動車爆弾という大規模テロよりは公共交通機関や一般市民、外国人を狙ったテロへの警戒が不可欠だ。


過去にインドネシアでテロの標的となったのはバリ島のディスコやレストラン、ジャカルタの米国系カフェ、米国資本のホテル、オーストラリア大使館、キリスト教教会とその大半は外国人を含めて人が多く集まるソフトターゲットである。それだけに今後、人の多く集まる、特に非イスラム教徒や外国人が集まるショッピングモールや映画館、ターミナル駅や空港、バリ島やボロブドゥール、そしてバタム島などの観光地などでは特に警戒する必要があると治安当局は呼びかけている。テロはまさに「インドネシアの今、そこにある危機」なのである。


トップ画像:出典 Wikimedia Commons/photo Jean-Luc BARRAUD

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