潘基文氏は国連で何をしたのか その3 縁故と偏向と
Japan In-depth / 2016年9月17日 11時0分
さらにより具体的に潘氏への批判の実例を列記してみよう。米欧の外交専門家たちの多くは以下の諸点を潘総長の「制度的あるいは個人的な失敗」として指摘する。
・スリランカで2009年に内戦が起き、政府側が反政府勢力を多数、殺したが、国連はその現実を熟知していても、なにもしなかった。その大規模な虐殺の黙視を非難されても潘総長はなにも答えていない。
・ハイチで2010年に広がったコレラで現地住民9000人が死に、その伝染病の発生源は国連平和維持部隊の要員だと確認されたにもかかわらず、最高責任者としての潘総長はなんの責任を示す言動をとらなかった。
・国連が中央アフリカ共和国へ送った平和維持部隊が2014年からの2年ほどの間に地元女性への性的暴力を続け、現地住民の恐怖を広めたが、責任者の潘総長は明確な対応策をとらなかった。
・アフリカのエボラ出血熱は2014年に始まり、明らかに国連機関の対応の失態で拡大が増した。だが潘総長はその失態を認めず、伝染の拡大への新たな対応策を示さなかった。
・潘総長は2016年1月にパレスチナのテロ組織の殺傷行為に理解を示す言明をして、イスラエルの激しい反発を招き、現地の紛争を結果的にあおった。
・潘総長は同年3月、モロッコ政府が実効支配する西サハラ地区への訪問でその支配を「占領」と評し、モロッコを攻撃する「ポリサリオ戦線」の主張を全面的に認める形となった。調停役の国連代表としては失態だった。
・潘総長はシリアのアサド政権が内戦で自国民を多数、殺しても、ロシアがウクライナのクリミアを奪取しても、いずれも「中立」の名の下に効果的措置をなにもとらなかった。
以上のような実例には国連自体がいかに努力をしても効果があがらないという場合ももちろんあるだろう。だがいずれの場合でも潘総長は最小限の行動しかとらず、とくに国連安保理の常任理事国には批判的な言辞を決してぶつけないというパターンが定着しているようなのだ。
(その4に続く。前5回。毎日11:00配信予定。この記事は月刊雑誌「月刊HANADA」2016年10月号からの転載です。)
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