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潘基文氏は国連で何をしたのか その5 この人事を歓迎した日本政府

Japan In-depth / 2016年9月19日 11時0分

そもそも韓国の代表を国連事務総長にすることには無理があった。日本に対する特別な態度を除いても、国連の伝統的な基準からしての障害がいくつかあった。藩氏自身の個人の能力は別にしても、「韓国政府の代表」が国連事務総長になること自体に構造的や伝統的なマイナス点がいくつかあったのだ。韓国という国家の代表に国連事務総長としての純粋な中立性を求めることには、始めから無理があったともいえたのである。


その実情は私が駐在するワシントンでも各方面から指摘されていた。ただし時のブッシュ政権が強く潘氏を推薦したこともあって大きな流れにはならなかった。だが日本政府としてはそれらの障害を指摘しての潘総長反対論を展開することはできたはずなのである。


それらの障害とは以下の諸点だった。米側の専門家や識者たちも提起していたのだ。


 



・韓国は厳密にはまだ戦争状態にある分断国家である。国際法的に変則な地位の国は、すべての国に対して平等、円滑に接することが難しい。


・韓国はアメリカの軍事同盟国である。過去の事務総長は大多数が非同盟や中立の国家の出身だった。アメリカとの二国間軍事同盟の相手国は国際的調停役としては抵抗にあう。


・韓国は国連が重視する人権擁護に徹していない。2003年の国連人権委員会では、韓国は日本人拉致を含む北朝鮮の人権弾圧への非難決議に棄権して批判を浴びた。



 


以上のような韓国のマイナス面も語られていたのである。


そのうえに韓国が年来、持つ反日体質はあまりに明白だから、韓国代表の国連事務総長就任は日本にとって不利、不便、不快となり、結果として有害となることは容易に予測できたわけだ。


だから私は事前に反対論を述べたのだった。日本政府が潘人事に対しては早い時期から絶対反対を表明することを主張した。その背景には私自身が長年の国際体験で韓国人が官民を問わず、国際的な場では日本に対してなにを述べるかをよく知っていたこともあった。


しかし日本の外務省は逆の動きをとった。当時の麻生外相はこの種の問題では非官僚的な思考の持ち主だろうと期待したが、むなしかった。早々と賛意を表し、潘氏の人事への祝辞まで送ったことは前記の通りである。


日本政府もいまやあまりにも明白な潘総長人事の失敗を教訓に、国連への奇妙な遠慮を棄て、自国の利害を毅然と主張する冷徹で現実的な新国連政策を構築することを最後に改めて求めたい。


(このシリーズ了。その4の続き。その1、その2、その3。全5回。この記事は月刊雑誌「月刊HANADA」2016年10月号からの転載です。)

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