“奇跡”続くNY爆発事件 容疑者スピード拘束で残る“謎”
Japan In-depth / 2016年9月20日 12時4分
アメリカの警察と言えば、相手が危険な人物と判断すれば、銃を連射するのが基本である。相手が銃を持っていなくても、警察官が恐怖を感じれば、至近距離で銃を乱射して相手を殺害しても、ほとんどの場合、事件にならないか、裁判で勝訴している。
そんな中、ホームレスかと思って近づいた相手が、いきなり銃を乱射して来ても恐怖にかられることなく冷静に対応した警察官に対し「よくぞ生きたまま拘束した!」とネットでは警察をたたえる声が相次いだ。これで容疑者がつながっている国際テロ組織の情報が入手できる!というわけだ。しかし、今のところ、国際テロ組織とつながりがあったという報道はない。そんな中、報道されているのが、容疑者が父親と経営していたフライドチキン店が抱えていた 近隣住民とトラブルである。
■人気フライドチキン店の近隣トラブル
ニュージャージー州エリザベス市。同州では4番目に大きい都市で、南米やアラブ系の移民が多いことでも知られる場所だ。容疑者一家がいつ渡米したかは定かではないが、容疑者の父親は2002年、この地に「ファースト・アメリカン・フライドチキン」という名の飲食店をオープンしている。24時間オープンの店は、若者たちから人気を集める。しかし、夜な夜な店の前に若者がたむろっていると近隣住民からは市役所に対し苦情が相次いだという。これに対し市側は、深夜の営業を禁止するよう通達。ニューヨークタイムズ紙によると、父親は2011年、この市からの通達を巡り、イスラム教徒に対する差別だとして市長や議会を訴えている。最終的には深夜1時までの営業ということで、訴訟は収束を見たようである。
しかし、店を巡り警察とトラブルを抱えていた兄は、逮捕を恐れて出国、アフガニスタンに逃げたと見られている。また容疑者自身も4年前にアフガニスタンに旅行して戻ってきてからはより熱心なイスラム教信者になり、人が変わったようだったいう友人の話も報じられている。また容疑者は2014年に、ナイフで知人の足を斬りつけたとして逮捕され3ヶ月間拘置所に入ったのち、不起訴となっている。
イスラム教徒である容疑者が、近隣住民や警察から受けた不当な差別を受け、少しずつ過激化していった…という、あまりにもステレオタイプな動機しか今のところ報道されていない。父に代わり最近では店を切り盛りしていたという容疑者は数ヶ月前には、店を売りに出すという広告も出していたようである。事件を想定し、事前に準備をしていたのか。
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