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がん患者や家族に癒しを 日本初の施設オープン

Japan In-depth / 2016年10月11日 13時22分

がん患者や家族に癒しを 日本初の施設オープン

安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)

「編集長の眼」

 

今、築地市場の移転問題で話題の東京都豊洲。新交通システム“ゆりかもめ”「市場前」駅を挟んで反対の北側に「マギーズ東京」が10日開設した。日本初のがん患者や家族が無料で様々な相談が出来る“癒しの場”だ。

オープニングセレモニーや内覧会に集まった関係者らおよそ1,000人。塩崎恭久厚労相らが来賓として挨拶した。この施設は1995年に乳がんで亡くなった 英国人マギー・ジェンクスさんの遺志を継ぎ、英国、香港、豪州などおよそ20か所に作られた「マギーズセンター」の日本版第一号。看護師や臨床心理士らが常駐し、毎週月曜から金曜の午前10時から午後4時までオープン、誰でも予約なし、無料で施設の利用が可能だ。既に問い合わせの電話が殺到しているという。

秋山正子センター長は施設の意義をこう語った。

「がんの医療がスピードアップする中、患者の皆さんらが立ち止まって考える必要があるのではないか。今自分ががんでなくても、国民の2人に1人はがんにかかる。家族か、友達の誰かががんになるということだ。(マギーズ東京は)病院と家との間にあって、行ってみたいと思える場所。(患者の皆さんが)自分の足で前に進むことが大切で、そういう場になれればいいと思う。」

当日行われたトークショー&ファッションショーには6人のがんサバイバーが登壇、19歳で肝臓がんを発症し余命半年を宣告された山下弘子さん(24)は、「がんになり辛い思いをしている人はたくさんいます。(マギーズ東京が)そういう人たちの助けになればいいと思います。」と語った。

自らも24歳の時に乳がん治療を受けた共同代表の鈴木美穂さん(32)は、「支える人が社会にいる。がんの患者でもいきいきと生きられると知ってもらいたい。」とマギーズ東京の役割を強調した。

これまで3000人から7000万円の寄付が集まり、施設の建設費などに充てられたが、今後は運営費の捻出が課題となる。他国のマギーズセンターには年間約1万人から2万人の人が訪れるといい、マギーズ東京にどのくらいの人が来るかによってスタッフ増員を検討する局面も出てこよう。当面は寄付がメインとなるが、その他の収入源の確保も必要となるだろう。これに関し英国マギーズエジンバラセンター長のアンドリュー・アンダーソン氏は「(収入源を探すにしても)あくまでマギーズセンターのフィロソフィーの実践が第一義だ。」と強調した。

ボランティアとしてイベント運営を行っていた上大田誠さんは肝臓がんを経験している。「今でもがん患者に対する偏見や差別はあって、自分はがんだと言い出せない。」と社会が抱える問題を指摘する。すべてのがん患者とその家族らが前を向いて自分の足で歩み、いきいきと生きることができる社会の実現に向け、マギーズ東京は発進した。そして私達は一体何ができるだろうか。一人一人が考え、実践することをマギーさんは願っているに違いない。

トップ画像:マギーズ東京©安倍宏行

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