臨時国会、真価問われる蓮舫代表
Japan In-depth / 2016年10月12日 11時0分
「細川珠生のモーニングトーク」2016年10月1日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth 編集部(坪井映里香)
今回は、先月26日に招集された臨時国会について。Japan In-depth編集長安倍宏行をゲストに迎え、66日間にわたる今国会のポイントなどを聞いた。 先日代表戦を終え、参議院議員の蓮舫氏が新代表に就任した野党第1党、民進党。蓮舫氏が新代表に選出されて初の国会ということで、民進党への注目度は高い。細川氏は、蓮舫氏が抱える二重国籍問題にはまだ決着がついていない、との見方を示した。 「発言後二転三転したという、政治家としての信頼性の問題と、実質二重国籍だったわけですよね。それは旧民主党政権時代に蓮舫氏が大臣をやっていたときに、今(二重国籍だったということが)わかったことではあるが、今までの発言を見ると、ご自身に自覚があったかもしれない。過去のこととはいえ、二重国籍であったことに対しての謝罪が必要。」と述べた。 この件を受けて、国会議員の二重国籍を禁止する法案が提出される。これは、参議院から日本維新の会が中心となって提出される法案だ。これに対し、「この法案をきちんと成立させることが大事だと私は思います。」と細川氏は述べた。また、与党側から蓮舫代表に対して二重国籍問題の追及があることが考えられるという。窮地に立たされる蓮舫代表が、「どう切り抜けるかというのが大きなポイント。」と安倍編集長は述べた。 今国会ではさらに、憲法の問題もクローズアップされるという。はじめて両院で改憲勢力が3分の2になり、改憲の発議が可能になった。「決めるのは国民ですが、提案するのは政治家の仕事である」という内容の安倍首相の所信表明演説を受け、細川氏は、「政治家の責任としてきちんとやっていきたいという強い意欲が感じられた。」とした。 これに対して民進党は、岡田前代表時代は、安倍首相の下では憲法の議論をしない、という構えで、新しく幹事長に就任した野田佳彦氏も同様の考えだ。さらに、自民党の憲法改正草案を撤回しないと議論に応じないという姿勢を見せている。こういった民進党に対して、「ただの草案ですから、ほかの党が撤回しろなんていう権利はないし、自民党は草案として出した、だから民進党は民進党の総意として出せばいいだけのこと。」と細川氏は述べた。 安倍編集長も、「議論を避けるというのは責任野党としてどうなのか。」と民進党の姿勢を批判した。しかし、蓮舫代表は代表戦の間、憲法に関してはきちんと議論をする、ということを明言。幹事長と代表が別のことを発言していて、「民進党はいったい誰が力を持っているのか。」と細川氏は疑問を呈した。また、「憲法の問題は与党だけですすめていくというよりも、なるべく多くの議員がきちんと納得することが大事なのですから、議論の入り口にもたたないというのは、非常に不信感。」と続けた。 憲法の議論の手続きとしては、まず衆参の憲法審査会を開くというのがまっとうな手続きだ。66日間でどの程度できるかはわからないが、とにかく憲法審査会を開き議論を始めることが大事であるという。 今国会で重要な法案としては、TPP関連であると細川氏は指摘した。慎重姿勢を示しているアメリカの次期大統領がどうなるか、ということを理由に野党は今やるべきではないと強硬に反対しているのが現状だ。さらに補正予算もあり、66日間で片付けることができるのか、ということを根拠として細川氏は、臨時国会が少し早めに終わって解散になり12月に選挙もありうる、と予測した。安倍首相は2回大勝していることから12月にやりたい気持ちもあるのでは、との理由からだ。1月解散説も流れているが、1月は通常国会も召集しなければいけないので選挙は難しいとの見通しを示した。 今国会で与党としては、蓮舫代表を中心とした民進党を追い込めば選挙でも負けないとみている。「実際臨時国会・予算委員会がはじまって、民進党とのやりとりがどんな感じで進むかによっては見えてくるのでは。」と細川氏は述べた。 最後に、アメリカ大統選挙について。テレビ討論でのお互いのののしり合いを見て細川氏は、「実際どういう風にアメリカという国がやっていくのかということについては、あまり(アメリカの)世間は注目していないのでは。」という印象を受けたようだ。過去の米大統領選の取材経験がある安倍編集長によると、「アメリカ大統領選というのは結局(候補者の)好き嫌いが大きい。」という。 臨時国会と終盤にさしかかったアメリカ大統領選挙。今年の秋は両者に注目していくことになる。(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2016年10月1日放送分の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
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