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タイ繁栄と安定の象徴、プミポン国王死去

Japan In-depth / 2016年10月13日 23時38分

次期国王最有力候補のワチラロンコン皇太子に関しては、父親であるプミポン国王の在位が長期間だったことから国王としてどこまで国民の敬意と信頼を早急に得られることができるか、そして国家存亡の危機などに際してはどこまでその国王としての力を発揮することができるかが問われることになるだろう、との見方が強い。


■真に国民に愛された国王


プミポン国王は、1946年6月9日にラーマ8世(前国王)の急死を受けて急きょ国王に即位、タイ仏教の習慣に従い一時期を仏門で過ごしたほか、趣味のカメラをぶら下げて全国各地を訪問し、国民に気さくに声をかけるなど、「国民に愛される国王」だった。可能な限り政治への関与を回避しながらも、クーデターや騒乱の際にはここぞという時に関係者を王宮に呼んで和解や沈静化に努めるなどその言動は尊敬を集めた。


特に1992年のいわゆる「暗黒の5月事件」といわれる政府軍と民主化勢力との衝突で、バンコクが流血の騒乱状態に陥った際は当時の首相と民主化運動指導者の双方を王宮に呼び、ともにタイ式の正座をさせて「国民のことを考えろ、いい加減にしたらどうだ」と諭して、事態を一気に沈静化させた。このようにタイが時に軍によるクーデターを繰り返しながらも一貫して民主主義国家としてあり続けることができた大きな要因に、いざという時に国民のことを最優先に考える国王の存在があり、それが安全弁として見事に機能してきたことが挙げられる。


タイ国内を訪れてみるとわかるが、世界からタイを訪れる観光客を迎える国際空港のロビーをはじめ、学校、官公庁、商業ビル、街角とそれこそ全国津々浦々、あらゆる場所、家庭、乗用車の中にまで国王と王妃の写真が掲げられ、紙幣にも国王の肖像が印刷されている。それはいかにタイ国民が国王、王族を誇りに思い、尊敬し、親愛の情を抱いているかをなによりも物語っている。


日本の皇族とも関係が深く、2006年の即位60年の式典には天皇皇后両陛下が参列した。筆者の知人であるアユタヤ在住のタイ人は仕事を休んで、自宅近くの仏教寺院で12日朝からずっと祈りを捧げ続けていた。微笑みの国タイでは今、深い悲しみと国王への心からの追悼という静かな時間が全土でゆるやかに流れている。


トップ画像:reeveb / everystockphoto

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