トヨタ・スズキ提携交渉“第2のトヨス”か? その1
Japan In-depth / 2016年10月21日 23時0分
遠藤功治(株式会社SBI証券)
「遠藤功治のオートモーティブ・フォーカス」
1)はじめに
皆様、大変ご無沙汰をしております。JIDで自動車産業の話題につき寄稿をさせて頂いている、自動車産業担当アナリストの遠藤功治です。
私事ではありますが、この7月に前職のアドバンスト・リサーチ・ジャパンを円満退職し、この度、株式会社SBI証券に転職を致しました。小職の場合は、引き続きアナリストとして、自動車関連産業を分析することになりますので、転職というよりは転社なのですが、JIDの自動車産業関連での寄稿も、従来通り続けて参りますので、今後共宜しくお願い致します。
さて、小職の前回の寄稿は、日産自動車による三菱自動車買収に関するものでした。約半年前の話です。この10月20日には日産が三菱自に2,370億円の出資を完了、34%出資の最大株主となりました。日産・ルノー連合のゴーン会長兼社長が三菱自動車の会長に就任、4人の役員が派遣されました。既に250億円だ、500億円だという双方の会社へのメリットとなる数値も飛び交い、今後、更なる提携強化の具体策に注目が集まります。
一方で、この半年の間に、ホンダとヤマハ発動機が日本でのスクーター事業の提携を発表、50cc以下の国内における小型バイク市場については、今後、ヤマハはホンダからOEM供給を受けることになりました。つまり国内販売されるヤマハのスクーターは、全てホンダ製になる訳です。1970年代、80年代にHY戦争として熾烈なシェア競争をしたこの2社が、国内だけとは言え手を結ぶなどとは、つい最近まで考えもつかないことでした。
そして今度は10月12日、トヨタとスズキが提携交渉に入るとのニュースが流れ、その共同記者会見がトヨタの東京本社で緊急に開かれた訳です。トヨタとスズキ、略して“トヨス”か?豊洲に引っ掛け半分冗談に聞こえますが、将来への期待と現実的な問題点が混在するという意味で、豊洲移転問題との類似点もあります。両社にとって、今後の大きな頭痛の種にもなりそうな出来事、それでいて今ここで一歩踏み出さざるを得ない状況でもある、国内再編の最終章なのか、まだまだ続きがあるのか、国内外に大きな影響を与えるかもしれないこの提携イベント、ここで詳しく分析させて頂こうと思います。
2)日本は3グループに集約
トヨタ自動車が現在提携している日本の自動車関連企業は次の通りです。(図1:トヨタと提携している自動車会社とその内容)即ち、トヨタを含む7社が、広義な意味でグループを形成していると言えます。今回ここに、スズキが入り、メンバーは8社になるということになります。これ以外では、前述の日産(ルノー)・三菱連合、そして単独のホンダ、という組み分けとなります。つまり、日本の自動車関連企業では、大きく3つのグループに集約された、と言える訳です。
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