「自衛隊の駆けつけ警護」は本末転倒 自壊した日本の安全神話 その9
Japan In-depth / 2016年11月4日 11時47分
まさかとは思うが、「どのみち相手が、ジュネーブ条約やハーグ陸戦条約などを遵守するはずがない」などという論理で、自衛隊員が武装勢力に捕らえられる可能性を無視したのではあるまいか。「捕虜になった場合の対策」を欠いた杜撰な計画のもと、自衛隊員は南スーダンに送りこまれるのだ。
一方で、自衛隊員の側が、誤って民間人を銃撃してしまったような場合は、どうなるか。法治国家であれば、当然、これは軍事裁判所の管轄となる。これにはふたつの側面があって、まず、一般市民であれば、他人を銃で撃っておいて、過失致死傷罪で済むわけがない。一方では軍人の場合、上官の命令に従っての発砲それ自体は、違法行為と見なされない。要するに市民社会と戦場では、善悪の判断基準それ自体が異なるのであって、専門の軍事裁判所を設けることなく、いつ戦場になるやも知れぬ地域に自衛隊、それも戦闘部隊を送り出すなど、国際社会の理解が得られるはずがないではないか。
現在のような、安保法制を法的根拠として自衛隊が海外で武力行使をすることを可能とした体制は、日本の安全保障に寄与しないどころか、逆効果にもなりかねない、と私は断言する。報道によれば稲田防衛大臣は、南スーダンを視察に訪れたものの「不測の事態」を考慮して、ごく短時間で立ち去ったという。しかし国会答弁では、「戦闘はまだ起きていない」と言い張っている。300人以上が犠牲になった武力衝突も、戦闘ではない、と。「平和ボケ」という言葉は、本来こういう人を指して使うべきではないのか。
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