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突破口を求め苦悩する韓国の保守 その1

Japan In-depth / 2016年11月11日 7時0分

突破口を求め苦悩する韓国の保守 その1

朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

(この記事は2016年11月7日に入稿したものです。)

11月4日朴槿恵(パク・クネ)大統領は国民向け談話を発表し、崔順実(チェ・スンシル)容疑者による国政介入疑惑について改めて謝罪するとともに、自身に対する検察の捜査を受け入れる考えを表明した。

1 朴大統領の談話とその反応

朴大統領は「必要ならば私も検察の捜査に誠実に応じる覚悟であり、特別検事による捜査も受け入れる」と述べ、疑惑の解明と責任の所在を明確にするために最大限協力する意向を示した。

青瓦台(大統領府)の秘書室と警護室に対し検察の捜査に積極的に協力するよう指示したとした上で、「今後、検察はいかなる制限も受けずに真実を明らかにし、これに基づく厳正な司法処理が行われなければならない」と強調した。現職大統領が初めて検察の捜査を受け入れる立場を正式に表明したことで、在職中の大統領が事件の当事者となる前代未聞の事態となった。

この謝罪と捜査受け入れの談話に対して韓国の世論調査機関、リアルメーターの4日の調査では、朴氏の謝罪は「真摯(しんし)さがなく受け入れがたい」が57.2%。「十分ではないが受け入れる」が28.6%となった。「十分ではないが受け入れる」が28.6%となった背景には岩盤と言われてきた朴槿恵支持層の30%の人たちが一定の理解を示したからではないかと思われる。

同じくリアルメーターが7日に発表した調査結果によると、60代以上の支持率は3日の23.5%から4日は28.4%に、セヌリ党支持層では36.9%から42.6%にそれぞれ上昇し朴槿恵(パク・クネ)大統領の支持率は11.5%となった。

この談話を受けた国民の動きが注目されていたが、退陣を求める大規模集会が10月5日、韓国各地で開かれた。ソウル中心部の光化門(クァンファムン)での集会には、主催者発表で20万人、警察発表で約4万3000人が参加した。その背景には、朴大統領が謝罪して検察の捜査を受け入れるとしたものの、新たに任命される総理への権限委譲には触れず、権力維持を続けようとしていると見られたことがある。

しかし注目すべきは、現在のところ、「共に民主党」(盧武鉉系が有力派閥)も「国民の党」(金大中系が主要派閥)もこのデモに参加していないことだ。その背景には野党政権が次期政権を担った時、現在の韓国の閉塞状態から見て、同じことが起こりうる可能性が十分にあると判断しているのではないかとの観測もある。また、このままの状態で来年の大統領選挙を迎えた方が有利だとの野党側の党利党略的考えも垣間見える。

朴大統領に対する検察の捜査がいつから始まるかはまだ分からないが、崔容疑者の勾留期限の19日以後朴大統領への捜査に踏み切るとみられている。ここからが正念場となるだろう。

こうした中でソウル中央地検は6日未明、朴大統領の元側近、安鍾範(アン・ジョンボム)・前青瓦台(大統領府)政策調整首席秘書官(57)と、チョン・ホソン元付属秘書官に対する逮捕状を執行した。6日には検察出身の元側近、禹柄宇(ウ・ビョンウ)前大統領府民情首席秘書官(49)も検察に出頭した。

(その2に続く。全5回。)

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