傾聴怠り自滅したヒラリー 米国民上から目線のゴリ押し拒絶
Japan In-depth / 2016年11月12日 1時4分
彼らの恨みと憤りは、世論調査や専門家の分析では捉え切れる性質のものではなかった。なぜなら、相手を心から人間として尊重し、傾聴しようとしなければ、有権者の苦しみや不安は理解できないからだ。エリートや「進歩派」は、人の尊厳という、政治に一番大切な要素を見ようとしなかったのだ。
そうした意味でトランプに流れた票は、トランプ支持票というよりは、反エリート票・反ヒラリー票であったといえよう。有権者は、ヒラリーをはじめとする特権層を罰したかったのである。たとえそれが、野卑で予測不能なトランプに来る4年を託すという悪魔の取引であったとしても。尊厳を奪われて追い詰められた人間は、時に無謀なことをするものだ。
有権者たちは、「進歩派」の理性の暴力を拒絶した。人間らしさを奪われた上に、民主党政権の継続によって続く苦しみを受け入れないのは間違っているとされれば、憤りが増すのも当然だ。民主党や米メディアがヒラリーに対する庶民の不満を否定し、「ヒラリーの当選確実」「米国民はヒラリーを待ち望んでいる」などとヒラリーをゴリ押しした様子は、日本の芸能プロダクションや御用メディアが、不倫スキャンダルで総スカンを喰らったタレントのベッキーに対する視聴者の拒絶感を否定し、「視聴者はベッキー復帰を熱望している」「ベッキー復帰の準備は整った」などと彼女をゴリ押しし続ける様子に似ている。
だが、北風で旅人の外套を脱がせようとする試みは、失敗に終わる。相手を人として尊重しない上から目線は、必ず破綻するものなのである。
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