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自由貿易を封殺するな 2016年2つのビッグサプライズ

Japan In-depth / 2016年11月15日 11時0分

良薬であっても苦いと患者が飲まないので病を治癒できないというような話だ。苦いまま飲ませるのであれば、本当にそれを飲む必要性があることを患者によくよく分からせないといけない。あるいは、糖衣に包むことも必要だ。ここ数年、“inclusive”(より多くの人々を受け入れる、排他的ではない)という概念がよく出てくるが、これは言ってみればその糖衣にあたる。

全体の合計値で良くなっていれば良い、あるいは一人平均で良くなっていれば良いというのではなく、一番利益の少ない人、あるいは少数の不利益を被る人にまで目を向けてきめ細かくみていく。そういう意味での包含である。2016年の2つのビッグ・サプライズは、そうした丁寧さ、懐の深さがないと「角を矯めて牛を殺す」ことにもなりかねないという教訓を残した。

もう1つ、多数派の意見、あるいは民意とは何かの把握が非常に難しいということにも改めて気づかされた。今回の大統領選挙でも、得票数ではクリントン氏のほうが多いようだ。しかし、決められた間接民主主義のメカニズムに則るとトランプ氏が当選ということになる。

Berxitにしても、国民投票では賛成多数だった。しかし、英国が脱退の申し出をEUに対し行うにあたっては議会に諮らなくてはいけないという裁判所の判断が示された。議会で票決した場合、必ずしもBrexit賛成が多数になるかどうかはっきりしないとも言われている。ここにも直接投票と間接民主主義のねじれの可能性がある。

そもそも、これまでは技術的に直接民主主義が難しかったので間接民主主義以外になかったという面もあったであろう。しかし、最近の情報通信技術の発達によりその制約はかなり減っている。他方、「長い目でみて大多数の幸福に繋がる全体としての選択を直接民主主義ができるとは限らない」という考え方もあるだろう。こうした状況変化の下で、inclusiveな政策をやるとして、一体どの層の本音を探り、どの層に焦点を当てればいいのか。2016年の2つのビッグ・サプライズが提起した問題はあまりにも深遠である。

 

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