ワシントンD.C.の人々“悲喜こもごも”
Japan In-depth / 2016年11月22日 16時18分
26日にイラクの人民動員部隊(PMF :People’s Mobilization Forces)に不訴追特権を含む法的地位を付与する法案がイラク国民議会で審議される。これだけでピンとくるのは相当のイラク通だ。PMFはイラクシーア派宗教指導者シスターニ師が設立を呼び掛けたシーア派を主体とするミリシアグループのことだ。
この私的な軍事グループはイスラム国掃討作戦のために作られたものだが、それが事実上、正規軍と同等の免責特権を持つ戦闘部隊として認められるという。今彼らの主力は北部スンニー地域でモスール奪還作戦を戦っている。彼らの組織としての戦闘行為が「殺人」ではなく、「合法的活動」となるのだ。
この影響は計り知れない。現在モスール奪還作戦に従事するのは、正規軍以外では、シーア派系のミリシア(すなわちPMF)とペシュメルガ(クルドの武装組織)であるが、PMFが合法化されれば、彼らはモスールで何をやっても訴追されなくなる。これは既に十分複雑なモスール情勢を更に混乱させる。とんでもないことが起きそうだ。
〇南北アメリカ
今週トランプ政権の次期国防長官、国務長官候補者の名前が浮上し始めた。報道が正しければ、前者は海兵隊大将の中東での歴戦の勇士、後者は4年前の共和党大統領候補だそうだ。事実であれば、トランプ次期大統領はNSC補佐官と国防長官に「イスラム過激派」に厳しい退役軍人を起用するということらしい。大丈夫なのか?
昔ならともかく、最近ではあまり聞かない話だ。元大統領候補の国務長官就任は共和党の党内融和のためだろう。だが、あれほどトランプを批判した前候補が本当にポストを受けるだろうか。受けなければ党は更に混乱するが、仮に受けても、この国務長官は大統領のインナーサークルには入れない「お飾り」長官となる恐れがある。
〇インド亜大陸
27日にパキスタン軍の次期総参謀長が決まるらしい。前任者が辞任に追い込まれた結果らしいが、パキスタンはまだまだ安定には程遠いようだ。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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